tmcてむしー

セッションのtmcてむしーのネタバレレビュー・内容・結末

セッション(2014年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

ドラマーの彼氏と鑑賞。
見終わった後、彼氏がしばらく考え込んでいた印象的な映画。

世界的ドラマーに憧れるさえない男子学生ニーマンは、音楽院でも最高峰のジャズバンドに抜擢される。
しかし教授であり指揮者のフレッチャーは必要以上に厳しく、ニーマンを精神的に追い詰める。
バンド内の競争は激しかったが、何とかステージで演奏する権利を勝ち取る。
しかし、ニーマンの親族は"音楽の成功"について軽視しており、ニーマンの努力の成果を評価しようとしない。
より一層音楽とドラムにのめり込むが、フレッチャーとトラブルを起こしたことで退学。仕返しとばかりにフレッチャーの過剰な指導について密告し、フレッチャーも学院をクビに。
数ヶ月後にフレッチャーと再会し、「厳しくしなければ、真の音楽家は生まれない。厳しくとも諦めないような、真の音楽家を生み出したい。改めて私のバンドに来てくれないか。」という話を聞き、音楽魂に再度火がつくニーマン。
いざステージに立ってみると、フレッチャーは密告の仕返しとばかりにニーマンを窮地に追いやり、恥をかかせる。
ニーマンはフレッチャーへの復讐心から、勝手に曲を始める。
しかしそれが「真の音楽家」へ通じるセッションとなった。

ニーマン役のマイルズ・テラーはファンタスティック・フォーのリード・リチャーズ役を演じている。
マイルズ本人も10年以上ドラムの経験があり、演奏シーンはほぼ彼の実演だそうです。(サントラは6割程度がプロの演奏)
鬼教師フレッチャー役は名脇役のJ・K・シモンズ。
スパイダーマンシリーズの編集長や、最近だとズートピアに出演(声)。レビューしたものだとダークスカイズに出演しています。

ジャズだけに限った話ではないけれど、音楽の世界で有名になれるのは本当に一握りで
そのチャンスを掴む人はこういう人なのかな、と思ったり。
それまで冴えない男子学生だった主人公がドラムに傾倒していく所も、JKシモンズの熱演があってこその鬼指導も、
もうただの狂気。夢を追っているなんて柔らかい表現すぎるくらいで、心が痛む。
フレッチャーは教え子の死に涙を見せる所や、小さな女の子に優しく接する人間らしい所も描かれるんですが
それすらも主人公が見てるのわかっててやってる…?!って程、真の音楽家を一心に求めていて、サドを通り越してサイコなんだよなあ。
まあ、見方によってはもはやニーマン(ドM)とフレッチャー(ドS)のプレイに見えなくもない。笑

最後のステージではニーマンもフレッチャーも復讐心という負の感情で演奏(指揮)を始めるんだけど、
相手を認めて心から音楽を楽しむことで真の「セッション」になっていくのがドキドキする。

シリアスで息を飲むような映画だった〜
見ている時はリズムをとっていた彼氏が、見終わった後真剣な顔で「ああいう感じなんだろうな。プロになりたいわけじゃないけど、俺、中途半端だな、ドラム叩きたい。」と言ったのが印象的だったなあ。
きっと彼の目線は私よりもずっとニーマンにもフレッチャーにも近かったんだろう。