ノラネコの呑んで観るシネマ

おみおくりの作法のノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

おみおくりの作法(2013年製作の映画)
4.2
弔いとは死者、生者どちらの為のもの?
独り身としては身につまされる話だった。
主人公は孤独死した人の身寄りを探し、身辺整理し、葬儀を出す民生員。
苦労して身内を探しても殆どの人は葬儀にすら来ない。
多くの人を見送ってきた彼自身も、家族のない独り身。
ある日向かいに住む男が孤独死し、同時にリストラを言い渡された事で、最後の仕事として亡くなった男の人生を辿り、所縁の人たちを探し出す事に執着する。
これ何となく「マスター・キートン」にありそうな話。
探偵(民生員)が故人の謎を辿って行くと、思いがけない葛藤に満ちた個人史があり、やがて大元としてイギリスのあの戦争にたどり着く。
ま、本作ではそこに陰謀など無いし、キートンの様なサスペンスじゃないけど。
お話的にはもう一捻り欲しかった気もするが、名バイプレイヤーのE・マーサンが味わい深く演じるジョン・メイの人生にはどっぷり感情移入。
彼がこだわり抜くお弔いの意味も納得だ。
切ないテーマ曲も耳に残る。