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過ぐる日のやまねこのCのレビュー・感想・評価

過ぐる日のやまねこ(2014年製作の映画)
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「忘れない」でいることは、大事なことだと思っていた。「忘れちゃいけない」と思い、「忘れない」ように意識して、時々そこを覗いてみたり、しがみついたりしながら生きていくことが大事だと思っていた。「忘れてしまう」ということが、ただ漠然と怖くて、あたしの記憶から、あたしのからだから、あたしの一部を無くしてしまうような気がして、それはとてもいけないことのようにさえ思っていた。いつでも振り返り、元の位置に戻っては、また少し進んで、忘れてはいないかと、また振り返る。こんな作業を続けて生きていくことが大事なんだと思っていた。でもそうじゃないのかもしれないと思った。「忘れる」ということを、怖がる必要はないんだと思った。「忘れる」ということは、決して悪いことではないんだと思った。忘れてしまって、前に進むことの方が、大事なのかもしれない。「忘れない」でいるべきだ、と、決めつける必要はないのだとも思った。

…と、書きながらね。あたしはね、「忘れよう」と思わずに、「忘れまい」とも思わずに、ただ、ふとした時に、思い出せたらいいなあと思ったんだ。たしかにいた、という記憶がどこかにあればいいなあと思ったんだ。
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