河

白黒姉妹の河のレビュー・感想・評価

白黒姉妹(1920年製作の映画)
4.6
バーを切り盛りする2人の姉妹がいて、男に人気の妹とは真逆に姉は暴力的で怖くて男たちに避けられている。そこに2人組の男が現れ、妹と片方の男が恋に落ちて結婚しようとする。姉妹の父から姉より妹が結婚するのはありえないから姉が結婚したら結婚を許すって言われる。姉と結婚しようとする男はおらず、妹に恋しているもう片方の男が一旦姉と結婚して訴えさせて離婚するという策を提案する。男はその策に乗って姉と結婚して横柄に振る舞うけど、それで姉はその男と恋に落ちてしまう。

映画を通してハッピーエンドに向かっていく感覚が漲っているため、その男と姉、もう片方の男と妹がくっつくという終わり方になるのは想像がつくけど、映像的な多幸感と共に腕力的にその都合の良いハッピーエンドへと向かっていくのが見ていて非常に気持ちいい。ロメールの『友達の恋人』とは物語構造だけでなくその多幸感のある映像とともに腕力的にハッピーエンドに向かっていく感覚も共通するように思う。綺麗に出来た物語構造をスムーズに突っ走っていく気持ちよさというか。どちらもハッピーエンドが全体の圧倒的なピークになっていてそこでスパッと映画が終わる。

思った以上にドアから投げ出される家具たち、酔っ払い達の早回しダンス、縦になる映像など、良いショットが沢山あるけど、特に幸福さの演出のボキャブラリーの多さがいいなと思う。感情の高まりが映像的な気持ちよさの高まりと同期してる感じ。結婚を申し込まれた嬉しさで柵から転げ落ちたと思ったら雪の斜面を思ったより下にダメージなく滑り落ちているのが見えて、そこに自分も滑って降りて合流するとか。同時に出される同じ内容の手紙、それが届くことも返事も全く気にせず抱き合う2組という終わり方も最高。
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