とりん

博士と彼女のセオリーのとりんのレビュー・感想・評価

博士と彼女のセオリー(2014年製作の映画)
3.9
イギリスの宇宙理論物理学者スティーブン・ホーキングの伝記映画であり、彼と結婚したジェーン・ワイルドとの恋愛映画でもある。
彼はケンブリッジ在学時の1963年に運動ニューロン病の一種が発病、余命は2年ほどと言われていたが、2018年2月にご逝去されるまで、様々な功績を残された。

その彼が病気と闘って行く姿を描いているのではあるけれど、病気に屈していくというよりかはその現状を受け入れ、思考を止めることなく、そこから希望を見出し、常に前に進んでいる姿を捉えることができる。
この病気は脳と筋肉の伝達をどんどん鈍らせていくという病気らしく、次第に手足が動かせ無くなり、声も出せず、食べ物や飲み物もまともに喉を通らなくなるほど筋力が使えなくなるという。
しかし彼は脳は正常に働くということを最初から確認しており、はじめは落ち込んで自暴自棄の時もあったが、ジェーンの支えもあり、ずっと前向きに生きていくことができた。

はじめは杖を使って歩いていたけれど、車椅子、電動車椅子となっていき、肺炎にかかり治療のために気管を切開し喋る事も出来なくなったが、スペリングボードを駆使し電子音声を使い会話を成立することだってできる。もちろん変わらず考えることはやめておらず、本の執筆、現在も研究を続けている。
肺炎にかかり安楽死を選ぶか気管を切開しリスクを承知で手術をするかの選択を医師がジェーンに迫った時、彼女は迷わず生きる可能性を選んだ。彼は生きなければならいと。彼女がいたからこそ今の彼がいるわけで、たくさんの理論が証明、提示されているのだ。

何があってもいつでも希望を捨てず、考えることをやめない。どんな時もお茶目で、頭の回転が良く、人のことをよく考えてくれる素晴らしいスティーブン。そんな彼の半生を観て、勇気がもらえる。
彼が唱えている説はどれも面白そうなのでいつか詳しく調べてみたいと思う。

この難しい役をエディ・レッドメインが演じきっていて素晴らしかった。これは賞レースに顔出したのも納得する。
妻役のフェリシティ・ジョーンズは献身的に夫の病気と妻と戦う姿を見事に演じていて、途中でぶつかる葛藤なども表現できていた。彼女が出ている作品を何作か観たが、そのどれとも違う感じがした。
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