kuu

ヘイトフル・エイトのkuuのレビュー・感想・評価

ヘイトフル・エイト(2015年製作の映画)
4.1
『ヘイトフル・エイト』
原題The Hateful Eight.
映倫区分R18+.
製作年2015年。上映時間168分。

クエンティン・タランティーノ監督の長編第8作で、大雪のため閉ざされたロッジで繰り広げられる密室ミステリーを描いた西部劇。

タランティーノ作品常連のサミュエル・MじゃないSでもない💡L・ジャクソンを筆頭に、
カート・ラッセル、
ジェニファー・ジェイソン・リー、
ウォルトン・ゴギンズ、
デミアン・ビチル、
ティム・ロス、
マイケル・マドセン、
ブルース・ダーンとまぁ錚々たる御出演。
全員が嘘をついているワケありの男女8人が雪嵐のため山小屋に閉じ込められ、そこで起こる殺人事件をきっかけに、意外な真相が明らかになっていく。
音楽をタランティーノが敬愛する巨匠エンニオ・モリコーネが担当。

再視聴っす(1度目は映画鑑賞ヒヨコのころ鑑賞)。
今作品は、改めて舐め回す様に見たらクエンティン・タランティーノ監督の典型的な映画って云って過言じゃない作品かな。
Louis Vuittonのモノグラムを見て、GUCCIと云うLouis Vuittonファンは居ないように。
今作品は、ゆっくりとした展開で、8人の異なるキャラを丁寧に紹介して立たせていく。
台詞は非常に精巧巧妙肌理細かに作られてて、粗野な語彙と、より知的な表現を混ぜ合わせることで、感情的なバランスを生み出してるかな。
また、作品の緊張感は、冷たい風景、長ゲーェ会話、制限された環境、優れた陰鬱なサウンドトラック、加えて、全体的にシンプルでありながら少しのひねりを加えた効率的なストーリーに基づいてる。
最初の主人公が死ぬまでには2時間近くかかり、殺害シーンはメチャ生々しく、意図的に誇張されてて、長い会話とは対照的に冷ややかで爽やかに殺してニンジャリバンバンな印象を与える。
クエンティン・タランティーノを知っている人は、彼に期待することができるかな。
ただ、この要素には長所と短所がある。
台詞は現代のハリウッド映画の中でも最も優れたものかと思われる。
カメラのテクニックは壮大で、設定は映画の雰囲気を盛り上げ、エンニオ・モリコーネが作曲したスコアは素晴らしいモンですハイ😤。
8人のキャラは個性的で、それぞれが非常に異なってて、彼らは、作中、本当に輝いている8人の俳優陣によって具現化されてました。
全員が素晴らしいハァ~イイ仕事をしていますなぁ~ぁ、唯一の女子であるジェニファー・ジェイソン・リーの演技に注目でした。
彼女は、卑劣で、サディスティックで、日和見主義の犯罪者であり、常に周囲の人々を操ろうとする人物を完璧に表現していた。
また、今作品をより素晴らしいものにしてんのは、それぞれの登場人物の関係性で、作中じゃ、意外なライバル関係や同盟関係が生まれては消えていき、登場人物の誰もが予想できない展開となっていた。
逆に否定的に云えば、今作品はクエンティン・タランティーノの過去のいくつかの映画と比較されガチかな。
また、設定、奴隷制度に関する議論、南北戦争の背景など、彼の前作の西部劇『ジャンゴ 繋がれざる者』との類似点が多すぎるんは否めない。
もう一つのマイナス要素は、映画の長さ。
映画は多くの雰囲気を作り上げる一方で、中盤で最初の登場人物が死ぬ前に勢いが個人的には失われてた。
少なくとも20分から30分は短くした方が、よりスムーズな体験ができたのではないかなぁ。
もう一つ気になったんは、視点の変化。
クライマックスの直前に、同じ日の早朝を舞台にした章が導入され、20分ほどですべての展開が明らかになる。
このことが、次のクライマックスのインパクトを弱め、映画の流れを奇妙に中断させてたように感じた。
この背景となる物語は、もっと別の方法で、もっと早く、特に映画の別の瞬間に語られてもよかったんちゃうかな。
鯔のつまり、今作品は、クエンティン・タランティーノのこれまでの最高傑作じゃないかも知れへんけど、彼の作品の中じゃ、秀作、もしくは平均より少し上の作品と云えるかな。
悪までも駆け出し映画フリークとしては。
脚本の台詞はアカデミー賞に値するものやし、カメラ、照明、音響の技術はレトロなスタイルと、現代的な基準の両方を備えてて、俳優と女優はキャリアの中でも最高の演技を披露していた。
西部劇が好きな方には、素晴らしい風景とストーリーが、この映画を愛する2つの理由となると思います。
ただ、もっと生々しく、テンポが短く、暴力的な映画をお探しの方には、チョイ退屈かもしれません。
なぜなら、この映画は異様に長く(食ってたポテチ<大きい袋>とチョココーヒークッキー<一箱>、それにコーラ<多分800ml以上>を暴飲暴食してもたから、例えになってないかなぁ)、ほとんど会話とキャラの成長にしか焦点を当てておらず、肉体的に激しくなるのは映画の最後の6分の1だけやからです。
個人的には、秀作の一つだと思いますが、クエンティン・タランティーノの他の作品に精通していて、西部劇のストーリーや設定が好きで、凝った台詞が好きな人でなけきゃ二分されるんかなぁと。
kuu

kuu