キネマ寸評

ヘイトフル・エイトのキネマ寸評のレビュー・感想・評価

ヘイトフル・エイト(2015年製作の映画)
4.0
タランティーノ、常連マドセン、ティム・ロス、S.Lジャクソン、最近味があるゴギンズ。圧巻の汚れ役ジェニファー・ジェイソン・リー。チャニング・テイタム笑。目が渋かったブルース・ダーン。

またウェスタンだが南北戦争終戦直後設定。賞金稼ぎ。死体がお金に見えてくる時代。吹雪の山小屋での一晩の話。謎解き要素をダラダラ引っ張る訳ではなく、時系列を淡々と追い犯人探しを注視させない。それがいい。レザボアドッグスのセルフリメイクに近い。

物体Xの影響ももちろんあるが、離れた小屋に杭打ちするシーンのスコアはモリコーネの物体Xスコアで(多分)彷彿とさせる。エクソシスト2のスコアも。

馬車にドンドン乗ってくるとこがヒッチャーみたいで、そういえばジェニファー・ジェイソン・リーはヒッチャー出てたな。

アメリカの南北戦争と人種の事の根深さとリンカーンの手紙に見る一体感。昔はこんなに人間残酷だった。毎度タランティーノ映画を観ると言葉というものの重さを感じる。もっと面白い映画これからも撮って欲しい。

3/7追記
ふと思ったので追記。
メディアや通信手段の事。
テクノロジー未成熟な昔だからこそのこのストーリー展開。
クライマックスの俺の軍団が朝になったら〜みたいなくだりはタランティーノ系良くある脚本だが、その真実味が証明されないのはスマホとか携帯が無い時代だからこその口での説得と腹の探り合い、全員が口述の伝記を語り継いでデータベース構築している人力。
リンカーンの手紙も、いまならSNSやメール、ツイッターだろうか。当時はきっと最強クールなセレブNo.1だったのだろう。
語り継がれた悪評も現代の何かみたいだ。そんな不自由な昔を潜在意識的に横目で現代の感覚で観ている面白さがあった。
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