MikiMickle

キングスマンのMikiMickleのレビュー・感想・評価

キングスマン(2015年製作の映画)
4.0
『キック・アス』のマシュー・ヴォーン監督のスパイ映画。
原作はマーク・ミラーとデイヴ・ギボンズのコミック『キングスマン:ザ・シークレット・サービス』。(『キックアス』もマーク・ミラーのコミックが原作)

イギリスのセヴィル・ロウにある高級紳士服店「キングスマン」は、実はどこの国にも属さない、人知れず世界を守るスパイ集団のアジトだった。10人のエリートスパイで結成されるキングスマン。
ある日そのうちの一人が殺されてしまう。後継者を選ぶにあたって、キングスマンの一人であるハリーは、14年前に後継者試験で自分の命を救う為に死んでしまった男の息子のエグジーと出会い、スカウトする。


前半は、エグジーのスパイ養成試験がメイン。
貧乏で恵まれなかった不良青年の彼が、他の金持ち候補生にとやかく言われながらも、元々持っていた身体的素質と心の優しさで頑張って成長していくので、嫌がおうでも応援してしまいます。
ヤマカシばりの機敏な動きや最初のカーアクションなどで楽しかったり、その試験のユニークさと過酷さにハラハラしたり。

一方で、キングスマンの一人を殺 したヴァレンタインという男と、ハリーの攻防があり、スパイ映画の軸を築いていきます。

このヴァレンタインがかなりの強者でして、信念があるので悪であるのかないのかもあまりわからぬまま話は続くのだけど、様々な機器を駆使できるし、富豪だし、人脈もすごい。何を企んでいるのか後半にならないとわからないので、おもしろい。
で、色々な事を手下にやらせないところがいいね‼ どんな事でも自分と部下兼彼女の二人でやってのける(笑) かっこいい

という、かなり緊張感のある前半。

そして中半から後半‼
もちろん緊張感はそのまま続くのだけど、
まぁ、死ぬ死ぬ(笑)
アメリカの教会で大虐殺シーンがあるんだけど、グッサングッサン‼ 刺さる刺さる、死ぬ死ぬ! 声を殺して心の中で大爆笑
差別主義者、死 ね死ね~‼と心で叫んだね
かなりのアクション! 最高にかっこいいコリン・ファース‼
ヴァレンタインの手下のガゼルという名前の女性は両義足が剣になっていてかっこいい♪
パッサンパッサンと、素晴らしい人体切り株を作ってくれます!

血はCGなので全然グロくはないから、そこはホラー好きとしては物足りないのだけれど、とにかくパッサンパッサンは楽しい♪腕‼頭‼胴体‼  切り株だらけ!

後半にも名シーン‼ 
花火がバンバンドッカン(笑) 
威風堂々にあわせてドッカンドッカン‼
「威風堂々」がこんなに効果的に使われたのは『時計仕掛けのオレンジ』以来じゃないでしょうか。もうこの先「威風堂々」を聴いたら、これ思い出して笑っちゃう。

で、俳優が素晴らしい。
ハリー役のコリン・ファース。『英国王のスピーチ』でアカデミー主演男優賞も得た彼が、素晴らしいアクションを見せてくれます‼かっこいいわぁ‼ 初老の紳士でありスパイであり、個人としての人間性もあり♪

エグジー役のタロン・エガートン。かなり良い。 眼鏡かけると昔のディカプリオみたいな顔。ヤンチャだけど芯があり、優しさありかつやっぱり若者のエグジーを見事に演じていました。彼のアクションもかっこいい。

ヴァレンタイン役のサミュエル・L・ジャクソン。この映画を観たのも、彼が出ているからっていうくらい好きな俳優。
悪役なんだけどね、血を見ると吐いちゃうし、 彼の信念含め憎めない。好き♪
やっぱりサミュエルは悪役が似合う‼ 歳とってるのにキャップが似合う!
ブラックエクスプロイテーション映画のまっとうな後継者だと思う。

スパイ映画へのオマージュもかなりあり、マシュー・ボーンのイギリス愛も感じる映画。
彼は『キックアス』で有名になったけど、ガイ・リッチーの映画の製作をずっとしてて、ほんとにイギリス人なんだなと。
今作に出てくる犬のエピソード、背広のかっこよさ。きちんとしたイギリス英語。紳士のマナー。素敵。
一方で、エグジーの訛り、イギリスにおける格差社会や失業率、差別やドラッグや低所得者の鬱憤。そういったものを風刺して描いたものでもあります。
アメリカ社会へのどぎつい風刺でもあります。
MikiMickle

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