地球外生命体

シーヴァス 王子さまになりたかった少年と負け犬だった闘犬の物語の地球外生命体のレビュー・感想・評価

3.5
トルコ東部・アナトリア地方の広大な自然を背景に描かれた少年と闘犬の物語。違法行為である闘犬を題材にしている。

これが長編1作目の新鋭カアン・ミュジデジ監督が手がけ、2014年・第71回ベネチア国際映画祭で審査員特別賞を受賞した。同年の第27回東京国際映画祭ワールド・フォーカス部門でも上映されている(映画祭上映時タイトル『闘犬シーヴァス』)。2016年・第88回アカデミー賞外国語映画賞トルコ代表作品。

ひょんなことから瀕死の状態だった闘犬シーヴァスを助け、飼うことになった11歳の少年アスラン。学校の学芸会で「白雪姫」の舞台を発表することになり、王子の役を希望したアスランだったが、村長の息子オスマンに王子役をとられた上、密かに想いを寄せていたアイシェが白雪姫を演じることに。さらに、シーヴァスもオスマンの飼っている闘犬ポゾに傷を負わされてしまう。体が小さくいつも周囲から軽んじられているアスランは、シーヴァスが強くなれば自分も強くなれると信じ、学校に行くのをやめてシーヴァスと過ごす時間に没頭していく。

当初、約30人の候補者がいたなかで、アスラン役は別の少年、ハサン・オズデミル(友人ハサン役)に決定していた。しかし、撮影3日前に他の子どもたちと遊んでいたイズジが、ミュジデジ監督の心をとらえた。「ドアンがハサンを追いかけていたんですが、なかなか捕まえられなかったんですよ。演技はハサンの方がうまかったのですが、弱い部分のあるドアンがこの役にあっているなと思い、彼を選びました」とのこと。

イズジら子どもたちは、ほとんどが演技未経験者だ。しかし、爆発する感情は瑞々しく、リアルに映し出されている。ミュジデジ監督は、撮影前に子どもたちと遊び、セリフだけでなく細かな身振りにいたるまで演出を行うことで、自然な演技を引き出した。

★2014年ヴェネツィア国際映画祭
Bisato d'Oro(ドーガン・イジズ)
審査員特別賞
★2014年アンタルヤ・ゴールデン・オレンジ映画祭
Behlül Dal 審査員特別賞(ドーガン・イジズ)
審査員特別賞
編集賞
★2014年アブダビ映画祭
【New Horizons Competition】
男優賞(ドーガン・イジズ)
脚本賞【Child Protection Award】
★2014年トルコ映画批評家協会
編集賞
★2015年アートフィルム・フェスティバル
Award of the Mayor of the City of Trencianske Teplice
★2016年ダッカ国際映画祭
国際映画批評家連盟賞
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