Yuuki

オン・ザ・ハイウェイ その夜、86分のYuukiのレビュー・感想・評価

4.0
アイヴァンは、今夜は家族と一緒にサッカーを見て、翌日大きな仕事にとりかかる平凡な男。しかし彼は全てを投げ出してハイウェイを走る。ワンナイトな不倫相手が今夜、彼の子どもを産むという連絡が入ったからだ。過去に犯した過ちを正すために不倫相手のもとに駆けつけようとするこの夜の行動が、平凡な男の人生を変える…な話

・登場人物はアイヴァン役のトム・ハーディ1人だけ
・ハイウェイを走る車の中しか映らない
・会話は車内での電話だけ
・ほぼリアルタイムで進行していく
という縛りで90分弱の映画を成立させるってとんでもなくないですか?「尖り」の真髄でしょこれ…。会話だけで登場人物がどういう立ち位置にあるのかを明確にさせつつ、大きなアクションも無くただ電話だけでどんどん戻れない状況に追いつめられていく…的な

画面にはトム・ハーディしか映らず電話という限られた状況で妻・息子二人(10代後半)との「家族とこれからどうするか問題」、仕事先の上司・同僚との「明日の仕事どうするか問題」、そして不倫相手との「産まれてくる子どもどうするか問題」の3つの話が並行して展開されて、一つ一つの言葉で喜怒哀楽の感情の起伏を演じきるトム・ハーディの静かな魅力が冴え渡っておりました。時系列的には「ウォーリアー」と「ダークナイト・ライジング」を経ての本作で、パワー系の役だけじゃないエモさでさらにファンが増えそうな演技でしたね

話が展開していく中での次男との会話で、今夜見る予定だったサッカーの試合でスター選手がいかにしてゴールをもぎとったかを嬉しそうに電話で話してくれるんだけど、その描写が今のアイヴァンの状況と対照的に重なって聞こえてきて、何とも言えない息詰まりを感じさせてくれてすごく記憶に残ってます。静かな逸品、オススメです。でも、一夜限りで抱いた女性がいきなり妊娠するなんて、百発百中過ぎません?それとも一夜のうちに超連続中出ししたってことですか?いやはや、気になりますよねぇ…
Yuuki

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