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ワザリング・ハイツ ~嵐が丘~/嵐が丘のSPNminacoのレビュー・感想・評価

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物語は終始ヒースクリフの視点。キャサリンは見られる存在としてあまり主体的ではなく、ほとんど偶像化してる。非対称な身分と関係が視線に反映されるが、前半後半で見る側見られる側が入れ替わって、どんどん閉塞してゆく。狭い画面、狭い視野、キャサリンはその視線に閉じ込められる。
現代的といえるのは、復讐というより虐げられた者が虐げる負の連鎖だろうか。アフリカ系ヒースクリフは予め不条理な犠牲者だが、抑圧された男性性を加害へ向かわせる。キャサリンの兄やその息子や他の男もそうだ。結果的にその犠牲となるのが動物や女性。酷いよ犬…
荒涼とした土地で、ヒースクリフは雨であり風そのもの。ヒースクリフの主観に合わせ手持ちとなって揺れるカメラ。しかもキャサリンの長い髪、羽根、馬や羊やうさぎ、シャツの生地…柔らかくふんわりした感触をじっくり凝視して捉える。ただ、ヒースクリフの裸体も同じように撮り方で、ちょっとやりすぎ。おかげで欲しても手に入らないものへの執着、迸る情念がすごくフェティッシュに見えた。
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