ケミカルとスピリチュアルが融合したような、とても神秘的な作品。すごく惹き込まれた。
あるパーティーの夜、ミステリアスな仮面を被った女性ソフィの瞳に魅了されたイアンは、瞳の写真を手掛かりに彼女を探しはじめる。
虹彩の模様は指紋以上に複雑なパターンをしていて、同じDNAを持つ一卵性双生児でさえも全く異なるという。
現実ベースの世界観の中、2人の出会いからの日々を日常的な視点で描いているため、あまりSFの要素は感じないかも。
科学と神秘の両極性が危うげで、ジャンルにとらわれない不思議な空気感を漂わせている。
ただ何かを感じる。説明がつかなくても、解明できなくても、感じたのであればそれは現実で、哲学的なようでとても人間くさい真理。
スピリチュアルでも科学的合理主義でもなく、その対立や棲み分けを超えるようなところに、創造はあるのかもしれない。
イアンとソフィの出会いの夜がとても素敵。