天豆てんまめ

グラスホッパーの天豆てんまめのレビュー・感想・評価

グラスホッパー(2015年製作の映画)
3.6
なに~!!ブラピ主演で豪華共演陣で伊坂幸太郎の小説「マリアビートル」がハリウッド映画化!というのを知ったのは、まさにAudibleで「マリアビートル」を聴いてその面白さに唸っていたところだった。

伊坂幸太郎の殺し屋シリーズの1作目がこの映画の原作「グラスホッパー」で2作目が「マリアビートル」(3作目「AX」)。

実は伊坂幸太郎のオフビートとこじゃれた台詞まわしと異質なキャラに今までは食わず嫌いだったのだけど、Audibleセールでたまたま買った「マリアビートル」の面白さを感じていた時のニュース。しかし凄いな~。

ということで1作目の「グラスホッパー」は小説は未読なのだけど、観なくてはと見たら結構面白かった。

冒頭いきなり、ハロウィンで賑わう渋谷スクランブル交差点を暴走した車に愛する恋人を轢かれ、復讐を誓う教師。その男がいる裏社会の組織に入社する生田斗真はいつもと違う情けなくも、想いを秘め、そしてヤバい状況に巻き込まれる普通男子を演じていていい。

殺し屋で人を自殺に見せかける鯨役の浅野忠信もぴったりで渋くかっこいい。

驚いたのはナイフの達人の殺し屋の蝉を演じた山田涼介の切れ味のいいアクションとキレキャラ演技。

そしてこの作品のキーパーソン。人を押して殺してしまう「押し屋」役を演じた吉岡秀隆がいつもと違う空気を漂わせて面白い。

裏社会の幹部の菜々緒も作品に似合い、二面を持つ女の佐津川愛美はキャラクターに意外性があっていい。

「犯人に告ぐ」「イキガミ」「脳男」の瀧本智行監督は王道の映画作りとセンスある映像運びでうまい。昔、先輩に誘われて、1度お茶した記憶があるけど、何を話したか全く覚えていない……。

なぜこういう作品を遠ざけていたか、それはきっと昔見た「鮫肌男と桃尻女」や「スナッチ」といったオフビート群像犯罪劇にハマれなかったからだ。

でも、伊坂幸太郎ワールドはそれを超えていくエンタテインメント性があるようだ。

今からブラピ主演の「マリアビートル」(東北新幹線が疾走する2時間半の殺し屋バトルもの)が楽しみだ。でも日本人俳優はハリウッド映画化悔しいだろうな~。真田広之は出るらしいけど。