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マイ・インターンのkuuのレビュー・感想・評価

マイ・インターン(2015年製作の映画)
4.0
『マイ・インターン』
原題The Intern.
映倫区分G.
製作年2015年。上映時間121分。

ロバート・デ・ニーロとアン・ハサウェイというオスカー俳優が共演を果たしたヒューマンドラマ。
年齢・性別・地位も違う男女が出会い、徐々に友情を育んでいく過程を描く。
メガホンを取るのはナンシー・マイヤーズ監督。

今作品はなんと云ってもベン・ウィテカーを演じるロバート・デ・ニーロが可愛いし、こだわりある男で渋くも見えた。

お話は、
ベン・ウィテカーは70代の定年退職した男性で、電話帳会社で何十年も働き、大企業のマーケッターとしても働いていた。
彼の才能と昔気質な性格のおかげで長年勤め上げたが、退職後はリラックスして精神的に解放されたものの、日々の生活には不安が残る。
何か大きなことをしたい、でも、それが何なのかわからないアルアルっぽい。
ジュール・オースティン(アン・ハサウェイ、キュートだし健気)が経営するファッション通販会社、アバウト・ザ・フィットのシニア・インターンシップ・プログラムに気まぐれに応募することに。
そして、ジュールスのインターンとして働くことにぃ~ぃ。
その結果、ベンはオフィスを手伝い始め、やがてジュールスの目に留まる。ジュールスは、彼の外向的で無私の性格、紳士的、いや、騎士道精神アリアリな振る舞い、そして常人としての才能に目を留めるってこないな爺さん居ないって男前すぎるぅ。
ジュールズはベンを運転手兼スケジュール管理補佐として使い始めるが、ジュールズは膨大な量の責任を背負っている。
彼女の会社は9ヶ月で5年分の成長計画を達成し、220人のスタッフを抱えても、この急激な生産性と成長を維持するために注文をこなすのに苦労してんだなぁまったく。
ジュールズは、妻であり一児の母でもあるが、ある日、アシスタント・マネージャーから、ジュールズが経営判断を下すためにCEOを迎え入れようと考えていることを聞かされる。
ストレスと選択肢のないジュールズは、ベンの多才な特性を生かし、いざという時に彼女を助け、2人は友ともとれる仲に。。。

ナンシー・マイヤーズ監督の今作品は、ノア・バームバック監督の『ヤング・アダルト・ニューヨーク』と並んで、善きコメディドラマの1つに数えられる。
両作品が、第二次世界大戦後のベビーブーマー世代とミレニアム世代の衝突を描く中で、示唆に富む洞察を示していることは興味深いです。
ベンは、カジュアルな仕事であっても男の流儀?ベンの美学で洒落た服装を選び、さらに年季の入った知恵を持つので(まるで老騎士のよう)、アバウト・ザ・フィットで働く若者たちを驚かせ、彼のアイデアも若者たちを戸惑わせる。
小生も持ち物にはかなりこだわりを持つので、ベンの持つグッズには共感でき、直ぐに愛着を持ったかな。
メールやツイッターという非人間的なコミュニケーションデバイスで育った世代には、彼の爽やかで正直な考え方や常識的なアプローチは、とても奇抜であり、素晴らしいこと。
脚本・監督のマイヤーズは、新しい世代を愚かで無能な人間として描くのではなく、直接的ではなく、便利さの犠牲になっている人間として描いてた。
それ共に、ここにある思慮深い、社会学的な男女の考察は、今作品に期待していなかったし感動しました。
また、ジュールズは、今の世代の男性と女性について興味深い観察を作中に持ち出してた。
女性がいかに育まれ、(甘やかされたのではなく)力を得て、社会の性別の役割の上に立って努力することを教えられたか、そのために女性が会社を興し、稼ぎ手となり、従順な主婦以上の存在であることを証明するのを見ることができると述べてます。
その過程で、男性は男性らしさの枠に収まるような個人主義的な決意を失ってしまった。
だから、ゲームをしたり、あまり労力のかからない仕事を引き受けたりする男性が増えたと、彼女は主張する。
彼らは以前、勤勉さとリーダーシップを信じるように教育された人たちやったけど、その役割が変化したのを見て、新たなコントラストを生み出したと云われます。
今作品は、ハリウッドの主流映画としては非常に大きなコンセプトであり、この考え方は、見下すのではなく、啓蒙的な方法で映画全体に貫かれてる。マイヤーズが感情的に正直な会話を前提にしているため、ここでの彼らの演技とケミストリーが単に注目に値することは云うまでもないかな。
ほんでもって、マイヤースは、物語の後半になると、その焦点が非常に広いものから非常に具体的なものへと移行するように映画を構成されてた。
冒頭やと、アバウト・ザ・フィットのオフィスとその従業員たちという壮大な舞台が映し出され、
その後、ゆっくりと、しかし確実に、主役の2人に焦点が当てられていくシームレスな展開となっている。
このスムーズな集中が、耳障りなムラを作らないし、見事な物語の転換を可能にしており、これは編集者のロバート・レイトンのなせる技かな。
メインストリームの映画が、これほど地味な作品の中で、世代間ギャップ、社会学的なコメント、強力な物語構成に取り組んでいるのは、本当に驚きでした。
とんでもない状況のユーモア(少し奇妙な配置やけど、特にメールのシーンはうまくいっている)を最小限に抑えることができた面白い作品でした。
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