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ルパン三世 ワルサーP38のタクマのレビュー・感想・評価

ルパン三世 ワルサーP38(1997年製作の映画)
4.1
世界の国々と裏で繋がる暗殺組織タランチュラに己の過去の清算をかけて戦いを挑むルパン。
劇場版かと思って鑑賞しましたがテレビスペシャルなんですね。
いつものコメディ色は影を潜めどこまでも暴力的で血生臭くハードな作風ですがこの大人向けで重圧な雰囲気こそがルパン三世という作品本来の世界観なのでは無いでしょうか。自分の中のルパン像って弱者には優しい一方で根本的には世の中の裏の世界で生きる人物には変わりないので実際にいたらそういう世界で生きているからこそ漂うヤバい男の色気とか狂気をちゃんと秘めてると思っていてこの作品はそんなルパンのダークヒーローとしての味が良く出ていると思います。
カリオストロの城のクラリス姫が高貴な家柄に縛られて自由を奪われた陽の存在なら本作のヒロインであるエレンは悲しい境遇から暗殺組織という闇の世界で生きるしかなかった陰の存在。どちらも自由を欲しているっていう部分は共通してるけど生きてる世界も立場も違う2人共が同じ苦しみを抱えていると思うと人間の自由や幸福の定義はその時々やその人の人生によって変わるんやなって思いますね。
そういうカリオストロの城と共通するテーマ性を感じる一方でラストはカリオストロとは真逆なルパンシリーズ屈指のバッドエンドって言っても良いくらいの悲劇的な結末やったけど1人のアウトローとして自由を手に入れてる怪盗ルパン本来の渋さやかっこ良さが出た作品だった。
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