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きみはいい子のCのレビュー・感想・評価

きみはいい子(2014年製作の映画)
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最近よく喋るようになった3歳の息子は、「モモちゃんもココちゃんも、カブちゃんも、ゆーちゃんも、みんないい子なのー?」とあたしに時々聞いてくる。あたしは決まっていつだって、「みんないい子だよ。」って答える。みんないい子だよ、きみも、きみのそばにいるペットでさえも。みんな、みんないい子なの。あなたは悪い子ね、って言うよりも、言われるよりも、いい子だね、いい子だねって優しい言葉をかけた方が、かけられた方が良いに決まってる。だって言葉は魔法の力を持っていると思うから。いい子だねって言われて、ぎゅっと抱きしめられて、ひとはいい子になっていくんじゃないのかなあ。って思うんだ。


泣きじゃくる息子を目の前に、できる限りの手を打つも、状況は何も変わらなかったとき、ただただ泣き続けられて、あたしまで泣き出して、途方に暮れてしまったとき、この世にはあたしと息子しかいないんじゃないかって、ふたりぼっちなんじゃないかって、閉塞された空間に閉じ込められて、大声出してわんわんと泣いたとき、、ひとりで子育てをしていると、自分で産んだ子でさえも、可愛いと思えなくなる瞬間は、あたしにもあったし、これから先にだって、ふとした時にひっそりと、それはやってくるのかもしれない。だけどね。そんな時に、誰かに、あなたのお子さんは、いい子ね。って、なんとなしに言ってもらえたら。それはね。子供だけじゃなくて、あたしまで、いい子だね。って、あなたは頑張ってるんだね。って、よしよしって、頭をそっと優しく撫でてもらえたような、褒められた気持ちになってね。涙が出てしまうんだよ。子育てに行き詰って、でも誰にも言えなくて、ひとりで抱え込んでいたときに、誰かに何気なく掛けてもらえる一言で、心が少し軽くなって、救われることだってある。暗闇に優しくそっと射す光、手を差し伸べてくれるひとは、きっとどこかにいてくれるのだと思う、大丈夫、ひとりじゃないよって、大丈夫だよって、優しい眼差しと、優しい心を持って。やまない雨はないから、いつか晴れた空が広がり、目の前に光は射すから。いまは泣いていても、きっといつか笑えるようになるから。きっときっと、大丈夫だから。


…それから。あたしはやっぱり、これからもハグをしようと改めて思いました。あたしは大事なひとたちを、いつもちゃんと愛せてるかどうか、きちんと大切にしてあげられているかどうかも、優しくしてあげられているのかすらも分からないけど。ちゃんと見つめて、寄り添って、見守って。大事に大事に抱きしめて「いい子だね。」って、ハグしていきたいと思った。みんな、みんないい子だよ。
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