まぴお

きみはいい子のまぴおのレビュー・感想・評価

きみはいい子(2014年製作の映画)
4.5
【しゅくだい】

めえこせんせいがいいました。
「きょうのしゅくだいは…です」
すると、みんなはいっせいに
「えー、うそー、ほんと?」と、おおさわぎ。
いったいどんなしゅくだいがでたのかな。


絵本の世界では「いもとようこ」と言ったら知らない人はいない位、有名な絵本作家です。
やわらかなタッチで温かみのあるお話を描く方です。
「きみはいい子」もしかしたらここからヒントを得たのかなと。
この人の絵本は良作ばかりですので機会があれば是非読んでほしいなぁ。

前作「そこのみにて光輝く」がよい作品だったので呉美保監督の新作「きみはいい子」を鑑賞。

期待以上でした。

物語はイジメや児童虐待や発達障害の悩みを抱える人たちの群像劇。

開始30分から涙が止まらない。
痛くて痛くてどうしようもない叫びが心を締め付ける。
辛いシーンの連続で観ているのが本当に辛い。

人って嫌なことがあるとつい心が荒み人に辛く当たってしまう。
そんな自分に自己嫌悪してさらに負の連鎖は続く。

ただその辛い毎日も誰かのちょっとした一言で救われたりする。
それはあなたの子供かもしれないしあなたのパートナーかもしれないしもっと他の誰かかもしれない。

この監督は前作でもそうなんだけど決して解決策を提示しません。
どん底から少しの希望を見せるだけです。

だからすっきりしたラストを求める人には向かないかもしれない。
そしてたぶんそれは男と女の関係に似てる。

男は彼女が辛いと相談した時、解決策を理論的に説明しようとするけど
本当はそんなことしなくてもいいんです。
彼女はそんなこと求めてるじゃないんです。

あなたはただ真摯に彼女の話を聞いてあげてください。
そしてギュッて抱きしめてあげてください。

多分それだけで心がスッと軽くなるんです。満足するんです。

これは大切な人と一緒に見てください。
これは僕からの【宿題】です。

子育てに悩むママさんは是非お子さんと他の人はパートナーや親友と。
終わった後は側にいる大切な人をそっと抱きしめたくなる。
人に優しくしたくなる。そんな作品でした。

472本目
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