MayuShimada

シェフ 三ツ星フードトラック始めましたのMayuShimadaのレビュー・感想・評価

4.0
邦題がなんか冷やし中華はじめそうな雰囲気出してるけど、めちゃくちゃ良い映画だった!
冷やし中華は始まらないが、うまそうなキューバサンドと地元の食材を使った限定メニューがたくさん出てくる。飯テロ映画として有名なようだが、私としては音楽もすごく好みだった。
ひと夏の冒険的な空気感もある映画なので、2022年3月(鑑賞時)現在、ひじょうに夏が恋しくなりましたね~。もういいよ寒の戻りとか。寒いのはいいから早く夏の解放感をくれ。

レストラン経営って本当にあんな感じなんですかね?
雇われシェフとして働く場合、自分の得意ジャンルとか新たな料理を作りだすことへの情熱を活かしきれないこともあると初めて知りましたよ。だからみんな最終的には自分の店を出したいと思うのかもしれませんね。
あまりに頭の堅すぎるオーナーだと窮屈だろうなぁ。

キャスパーの人間としてのちょっとした成長と、親子間・夫婦間の関係性の変化が平行して描かれているのも良かった。
キャスパー、悪い奴でも嫌な奴でもないんだけど、ちょっとだけプライドが高いのよね。新しい料理を仲間に試食してもらって「美味しい」という感想をもらっているのに、しつこくお世辞じゃないよね?って聞いてみたり、SNSの投稿で問題発生してもコンサルしてもらうのを拒んだりして。はっきり描かれないけれど、もしかして離婚の原因はこういうキャスパーの頑なさにあったのでは?なんて想像させられるヒントの盛り込みかたするのよこの映画。ちょうど良いの、見えるところと見えないところの量が。

そんなキャスパーの頑なさやプライドを柔らか~くほぐしていく息子との時間ね。
少し距離が開いてしまった息子にキャスパーが再び徐々に歩み寄っていく様子を見るのは幸せだった。子は親の背中を見て育つと言うけど、親も子供と一緒に、親として成長していくんだろうなと思った。
父親としてはイマイチだけど、と前置きしてから息子にシェフとしてのプライドを見せるシーンがお気に入り。このプライドはカッコイイやつなんだよな。あんなふうに仕事に取り組む姿を見せられたら、「僕もキッチンに立つならプロとして!」って背筋伸びちゃうよね。
あと息子くん専用のナイフを買ってあげるところも好きでした。パーシー(息子)からしたら、今まで入れてもらえなかった「聖域」にようやく招かれたって感じでしょうね。
そしてパーシーの、広報担当としての高い能力。
SNSネイティブだからこそできるよねあれ。わかってんのよね、画面の向こうの人達がスマホで何を見たいのか。このへんのパパとのギャップがおもしろかった。パーシーは、ここまで教えればわかるよね?ってところまで教えてるんだけど、パパ側はまだ文明開化したばっかりで肝心なとこわかってないのね。
おいおいおい!まずいって!燃えるよ?!それ燃えるって!って(笑)

こういう親子の関わり方いいなぁって思いました。
私が好きだなって思う家族(親子)像っていつもこんなかんじだな、そう言えば。親の言うことは絶対じゃなくて、対等に近い。でもちゃんと子供がすくすく成長できるように「保護者」としての感覚も持ってる。子供の行動を制御するだけじゃなくて、お互いにちゃんと向き合ってやりとりがある感じ。
きっと理想と現実はちがうんだろうな~。

イネズ(キャスパーの妻)がめぇ~ちゃくちゃ綺麗。なのになぜか親近感わくんだよな。なんでだろ。いつも綺麗なかっこうしてメイクも髪もバッチリなのに、言うこととかやることとかが自分とかけ離れてない感じするんですよね。初登場時は「うそだろキャスパー、お前女神と結婚したんか…」ってなぜか絶望するんですけど、見てるうちに「ごめんやっぱお似合いだったわ」ってなる。
またこれもね!この印象の変化も物語の展開とうまく絡んで、最後めっちゃハッピーになるんですよ!私が!

イネズの前夫が絶妙にチャラくてプライド高い負けず嫌い野郎でおもしろかった。演じてるのロバート・ダウニー・Jrなんですけど。このプライド高めなとこ、イネズのタイプなんでしょうね、とか思って。
わかるよ、うん。負けず嫌いの人って可愛いとこあるよね~。

結末で間違いなく幸せな気分味わえると思うから、ナチョスとビールとか用意して観て欲しい。
そういえばこの間、近所のスーパーの輸入菓子売り場でディップつきナチョスがヤンヤンつけボー方式で売ってるの見つけたから、今度食べながら観ようかしら。
ぜったいなんか食べたくなるからこの映画。おやつ必携よ。
MayuShimada

MayuShimada