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アイアムアヒーローのeucalypsoのレビュー・感想・評価

アイアムアヒーロー(2015年製作の映画)
3.0
原作は完読。風呂敷を畳むことを放棄したと評判の悪い結末も、「ドラゴンヘッド」に比べたら健闘していたと思うし、最後まで筆力が漲っていたので、自分は肯定派。

映画版は、ZQN=ゾキュンのデザインが素晴らしい。世界的に見ても誇れるオリジナリティと完成度。てっこと陸上部ZQN、2人のアクロバティックな動き。後者は、運動神経抜群で動きが予測不可能なゾンビという不穏な存在感を描き切っていた。反面、漫画は静止画なので気にならないけど、映画だと歩くのか走るのかというゾンビ・ルールが徹底されてなくて、戸惑う。

原作1巻のラストに向けて、じわじわと日常が侵食されていくサマもよく描けていたし、路上で四方八方から飛びかかるZQNから逃げ惑うモブ・シーンのカオス、タクシー横転まではパンデミック/ディザスター映画として最高の流れ。「新感染」に負けてない(「アイアム〜」もロケは韓国だけど)。

とブチ上がったものの、ショッピングモールに行ってからトーンダウン。リーダー他の演劇的な喋り、テントが並ぶ屋上の切迫感のない弛んだ空気に萎え、食品庫に向かうシーケンスで、モールという魅力的な空間を道具立てとして活用する意思がないことにアレ?となり、英雄がZQNをひたすら撃ち殺すという物量作戦で逃げ切るラストで沈没。ゾンビ+モールが絵として二番煎じになるのはわかるけど、そのハードルを前半の気圧で乗り超えてほしかった。

大泉洋は英雄まんまだった。ヒステリック・グラマーの帽子、ライバル漫画家の原稿が浅野いにお、ラストの車がアルファロメオ・ジュリエッタ(好きだけど、マーチの方がこの物語には合ってると思う)。

*あくまで邦画に弱い人の感想です。
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