三鷹

ロンドン・リバーの三鷹のネタバレレビュー・内容・結末

ロンドン・リバー(2009年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

2005年にロンドンで起こった同時多発テロ。その中でも多くの死傷者を出したバスへの無差別攻撃後、行方不明の自分の子供をそれぞれ探しているエリザベスとウスマン。

子供が何処にいるのか、安否すら分からないエリサベスの不安が、みているこっちまで窒息してしまうほど伝わってくる。
その物語の根底に強くはないが異文化に対する排他的思想をも描く。

息子を探しているウスマンと出会った時に差し出された手を握ることが出来なかったり、娘がアラビア語を学び、モスクに訪れている事実を知り動揺する。
大都会で自分の知らないうちに娘が変わってしまっているらしい事実にショックを受けるエリザベスは極々普通の主婦の女性のように映る。その姿に同情に近い気持ちにもなった。

一方のウスマンは絶えず穏やかでいた。エリザベスの誤解による警察の聴取にも怒りを表す事はなかった。
その存在が不安で孤独なエリザベスを救う。

エリザベスが打ち解けていく様子はロンドンをはじめテロに怯える人々のひとつの答えのように思う。
テロ行為は決して許されないがその根源に目隠しをしては何も解決しないのだという事を。
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