みおこし

クルックリンのみおこしのレビュー・感想・評価

クルックリン(1994年製作の映画)
4.0
スパイク・リー監督作品でダントツのお気に入りができました!!とにかく素晴らしかったです!!これはオススメ。

舞台は1970年代。5人の子供を持つアフリカ系アメリカ人のカーマイケル一家は、いつも大騒ぎ。大黒柱のウッディは優しいが音楽家として芽が出ず家計は苦しく、母のキャロラインは日々子育てに追われながらも懸命に仕事にも勤しんでいた。ある日、ついにキャロラインの怒りが爆発しウッディと言い争いになるが...。

バイオレンスな描写もなく、とにかく淡々とブルックリンに住むとある黒人一家の日常をとらえた、スパイク・リー監督の作品の中ではある種異色な作品。おそらくリー監督の幼少時代の経験が投影されており、全編にわたって子供時代へのノスタルジーに満ちた心暖まる一本でした。ブルックリンに住んでもいないし、1970年代を生きたわけでもない私が観ても「はぁ、懐かしい...」と思わずため息が出てしまいます。冒頭はスタイリスティックスから始まり、人気番組「ソウル・トレイン」も登場したり、音楽的な側面もとにかくツボでした。

物語は5人の子供たちの中で唯一の女の子であるトロイの視点で進むのですが、賑やかな家族に囲まれながら1人だけどこか落ち着いた雰囲気を醸し出している独特な女の子。日々騒々しい兄弟たちにヤキモキしながら、一家に起きたひと夏の出来事を通して大きく成長を遂げていく姿が本当に愛おしくて、悲しい場面では一緒に涙が出たし、嬉しい場面では一緒にニコニコしてしまいました。他の兄弟たちもなんて可愛いんだー!
お父さん役のデルロイ・リンドー、お母さん役のアルフレ・ウッダードもそれぞれ心優しいパパと肝っ玉母さんっぷりがとにかく最高で、愛情たっぷりのカーマイケル家の雰囲気がひしひしと伝わる絶妙なキャスティングでした。

夏を越えるまでは一人でできなかったことができるようになっていく...。繊細な年頃の子供たちの成長をとにかく丁寧に、そして情緒たっぷりに描いたとにかくハートフルな作品。70年代のブルックリンの街並みも風情があって素敵だし、ストリートに佇む近所の悪ガキやカップル、隣に住むイタリア系の一家などなど、出てくる人物もみんな一癖も二癖もあるけど憎めない!

日本で言うならば『ALWAYS 三丁目の夕日』を彷彿とさせる、古き良き時代を切り取った素敵な作品でした。
みおこし

みおこし