ユーライ

人が人を愛することのどうしようもなさのユーライのレビュー・感想・評価

5.0
いやこれは傑作だろ。石井隆が自身のキャリアを冷静に俯瞰しながら、女優・喜多嶋舞のパーソナルを取り込んで綴る壮絶な自己言及。華々しさの裏にあるギョーカイの薄汚ない論理やおヌード目的な激安商品であることの隠しようもない残酷さを直視。虚実渡りや精神病院オチといった点で『パーフェクトブルー』や『さよならを教えて』を思い起こさせるが、照れや諧謔で逃げ場を作らない背水の陣が凡百のサイコホラーとは明らかに一線を画する。名美という汚れ堕ちていく女性を主役に捉え辛抱たまらんわいうっしっしする一方、そこまで追い込んでしまう男の加害性を糾弾する石井隆のマゾヒズムが好きだ。すみません許してください生きててごめんなさいと謝りたくなる。チンチンを切り落としてもらいたくなる。カモンベイビー阿部定!いつになく優しい安川午朗の劇伴に乗せて、犯行現場に留まり続けるすすり泣きの魂にエンドロール。「どこに行けばいいんですか?」。俺には答える資格すらないよ。
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