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私の少女のkuuのレビュー・感想・評価

私の少女(2014年製作の映画)
3.5
『私の少女』
原題A Girl at My Door.
製作年2014年。上映時間119分。

女優ペ・ドゥナが、2年ぶりに母国・韓国の映画に出演し、演技派子役として注目されたキム・セロンと共演を果たした主演作。
2014年・第67回カンヌ国際映画祭『ある視点』部門に出品され、日本でも同年の第15回東京フィルメックスのコンペティション部門で上映された(映画祭上映時タイトル『扉の少女』)。監督は本作が長編デビューとなるチョン・ジュリ。

とある港町の派出所へ左遷された、ソウルのエリート警察官ヨンナムは、母親が蒸発して父親と義理の祖母に虐待されている少女ドヒと出会う。
ドヒを救おうと奔走するヨンナムだったが、自身のある過去が明らかにされ、窮地に陥ってしまう。
そんなヨンナムを救おうと、ドヒはある決断をする。。。


      初恋
          島崎藤村

まだあげ初めし前髪の
林檎のもとに見えしとき
前にさしたる花櫛の
花ある君と思ひけり

やさしく白き手をのべて
林檎をわれにあたへしは
薄紅の秋の実に
人こひ初めしはじめなり

わがこゝろなきためいきの
その髪の毛にかゝるとき
たのしき恋の盃を
君が情に酌みしかな

林檎畑の樹の下に
おのづからなる細道は
誰が踏みそめしかたみぞと
問ひたまふこそこひしけれ

島崎藤村の詩をふと思い出しつつ書き進めます。
今作品は、一人の女性と少女、一人は大人、もう一人は未成年の物語。
どちらも自分たちのことを考えると、安全な世界には住めない。
だから、彼らは不本意ながら、ひょんなことから互いに支え合うようになる。
結果的に、それは彼らの人生の選択となる。
今作品は、従来の解決策に従わない、個人的には好みの作品でした。
なぜなら、人生もまた予測不可能やし、セオリーに従って生きることはできないからです。
また、抽象的なモラルのルールに縛られないのも考えさせられる(善いか悪いか答えがないが)。
特に、彼ら彼女らの味方であるべき道徳が、明らかに彼らにとっては機能しない場合は不条理と向き合うドラマが成立する。 
しかし、彼女らは良い選択をすることを避けてんのではなく、それは善いモンとは云えんが、必要なものであるとも云える。
そう、これは虐待された少女と、最善を尽くしても受ける裏切りについての映画でした。
主演の二人の女優がとにかく個人的にはよかったし面白いひねりの作品でした。
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