きゃんちょめ

裁かれるは善人のみのきゃんちょめのレビュー・感想・評価

裁かれるは善人のみ(2014年製作の映画)
-
2004年6月4日に発生したいわゆるキルドーザー事件に影響を受けて作られた作品。セメント工場に対する反対運動を始めた自動車修理工のマーヴィン・ヒーマイヤーさんが、裁判で敗訴したあと、業務停止命令まで受けた。それで、マーヴィン・ヒーマイヤーさんはブルドーザーを改造し、セメント工場や市長の自宅を粉砕した後、ブルドーザーの中で拳銃自殺したのである。ちなみにこの映画の原題は『リヴァイアサン』であり、これは古来より権力者のメタファーである。この映画ではロシア正教の主教が市長と癒着しており、理不尽な暴力を理論的に正当化するときにリヴァイアサンが持ち出されてきた歴史を想起させる。ヨブ記においても、理不尽な仕打ちに疑問を呈するヨブに対して、神は水棲の巨大怪物リヴァイアサンに比べてお前はちっぽけだから、そのリヴァイアサンさえ屈服させられる私に従えと促していた。悪徳市長の執務室にはプーチン大統領の肖像画があることにも注意したい。
きゃんちょめ

きゃんちょめ