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フューリーのYYamadaのレビュー・感想・評価

フューリー(2014年製作の映画)
3.9
【戦争映画のススメ】
フューリー (2014)
◆本作で描かれる戦地
1945年 第2次世界大戦 欧州戦線 /
 連合国がナチスに最後の攻勢
 (フィクション)
◆本作のポジショニング
 人間ドラマ □□■□□ アクション

〈本作の粗筋〉 eiga.comより抜粋
・1945年4月、ドイツへ侵攻する連合軍の米兵ウォーダディーは、自ら「フューリー」と命名したシャーマンM4中戦車に乗り、戦いを続けていた。
・ウォーダディーと3人の仲間に新兵のノーマンも加わり、5人となった部隊は絆を深めていくが、進軍中にドイツ軍の攻撃を受け、他部隊がほぼ全滅。なんとか生き残ったウォーダディーの部隊にも、過酷なミッションが下される…。

〈見処〉
①1945年4月、たった5人で、300人の
ドイツ軍に挑んだ男たち——
・『フューリー』は、2014年に製作された戦争映画。監督は『エンド・オブ・ウォッチ』のデヴィッド・エアー。
・ブラッド・ピットの主演・製作総指揮により、第2次世界大戦下に一台の戦車で300人のドイツ軍部隊と渡り合った5人の兵士たちの姿を描いた本作。共演は、役作りのために歯を抜き、顔をナイフで切りつけ、さらにはシャワーも浴びなかったために、ほかのキャストから不評を買ったと報道されたシャイア・ラブーフ、『パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々シリーズ』のローガン・ラーマン、『ウォーキング・デッド』のジョン・バーンサル、『アントマン』シリーズのマイケル・ペーニャがM4中戦車の乗組員を演じる。
・前述のローガン・ラーマン、ジョン・バーンサル、シャイア・ラブーフに『ハリー・ポッター』シリーズのジェイソン・アイザックスを加えた4人のユダヤ人俳優が、ナチス・ドイツと対峙する兵士としてキャスティングされている。
・本作の撮影は、2013年9月から11月までイングランドにて、同国のボービントン戦車博物館から、世界で唯一駆動可能なナチス・ドイツのティーガー戦車の貸し出しを受け、撮影が行われた。

②結び…本作の見処は?
浅そうで深い、戦争映画で語られるべき要素「全部入り」映画
◎: 「捕虜に対する教育的殺人」「ドイツ人少女との交流」「孤立化した部隊」…まるでブラック・コメディのような「非現実的な出来事」を、ローガン・ラーマン演じる新人兵士をフィルターを通じて見ることによって「現実性の高い戦争の不条理さ」を表現。
◎: とくに、同僚である米兵たちの蛮行や、戦いを拒み「私は戦争なのに戦わない臆病者です」と書かれた札とともに、木や軒先に吊るされたドイツ市民の死体の描写など、アメリカを中心とした連合軍とドイツ側のどちらにも肩入れしていない。小さなエピソードを重ね、戦争の狂気を描いたバランスに優れた脚本といえる。
◎: 戦車vs戦車…激しいタンクバトルは、他の戦争映画では見られないド派手なアクション。
○: 「フューリー」に乗り込む5名の兵士のいずれも、キャラクター立ちしている。とくに、プライベートではクズな報道が目立つシャイア・ラブーフが、信仰心の強い兵士を演じるギャップが印象的。
▲: とはいえ、ナチスSSへの攻撃は、やり過ぎ感ありの描写が続く。現在のドイツ国民は、本作を「溜飲が下がる」のか「歪な歴史感への屈辱」なのか、感想を聞いてみたい。
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