チッコーネ

アンダー・ザ・シャドウ 影の魔物のチッコーネのレビュー・感想・評価

3.5
時代をイラン・イラク戦争開戦中の80年代、舞台をテヘランに設定。
イラン革命の際、極左団体に所属したためキャリアを断たれ、イスラム原理主義に回帰する社会に抑圧され、さらに娘の奇行と戦禍に翻弄されるヒロインのストレスを、怪奇現象とシンクロさせた脚本が巧妙。
ゆえにホラー演出はさほど重要でなく、あまり怖くもない。
「マンションの天井から突き刺さった不発ミサイル」を映す絵は、非常に映画的。
ジェーン・フォンダのエアロビヴィデオで密かに室内エクササイズするヒロインの様子は面白いが、すでに当時から欧米作品の鑑賞が禁止されていたのかと思うと、深いため息。
また作中でYAZOOの『Don't Go』のMV映像も流れる(監督はイラン系イギリス人)…、エンドロールクレジットの『Only You』は誤植だと思うんだけど。