にゃん

サクライロのにゃんのネタバレレビュー・内容・結末

サクライロ(2012年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

3人で集まり出した頃に光の指についていたピンク色の絵の具を晴子が綺麗な色と褒めるシーン。タイトルが"サクライロ"だからそこから広がっていくのかと思いきや、そんなことはなく。

エンディングで光の描いてきた作品が順番で流れたが、ダイナミックで色味の強い作品が多かった中で、晴子を見かけてからは繊細かつ余白も画とした薄紅色の桜を描いたことで、光の晴子に対する諦めと絵に対する程よい距離感など、光の心の中を映したように思えた。

途中入選した藤本の絵(しかも晴子の横顔)を嫉妬や嫉みから持ち去り燃やしてしまう下りがあったが、うまくいかない心のモヤモヤが分かりやすかった。そしてその後の罪悪感との闘いで絵が描けなくなってしまうところも。皮肉にも藤本に「光はすごい。何があっても絵を続けろ」と言われてしまうとは。



ストーリー↓
画家志望の青年・光は、同じく画家を目指す親友の藤本とルームシェアしながら、2人でコンクール入選を目指していた。ある時、コンクールの応募締め切り間際で出品作を提出すべく美術館へと急いでいた光は、やはり駆け込みで作品を持ち込もうとしていた晴子と出会う。やがて志を同じくする3人は、共同生活を送りながら互いを励まし合う友人同士となった。だが、いつしか光と晴子の距離が近づき、3人の関係性が変わっていく。
バイトで家を空けることの多かった藤本をよそに、光と晴子はお互いに惹かれ合い付き合うことに。藤本も晴子に想いを寄せていたが打ち明けることもなく去っていく。
入選した藤本の絵を燃やし嫉妬に狂っていた光は「絵なんてなくてもいいじゃん」と慰める晴子に失望し「そんなこと言う奴とは一緒にいられない」と2人の関係はここで終わる。
数年後、個展を開くまでに成長した光は雑誌の撮影時に晴子を見かけ後を追う。しかしその先には3歳程の娘と旦那の姿。晴子も新しい生活を始めていたのだった。安堵のような、少し寂しいような。自宅に帰った光はキャンバスに向き合い綺麗なサクラを描くのだった。
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