るる

神は死んだのかのるるのネタバレレビュー・内容・結末

神は死んだのか(2014年製作の映画)
1.0

このレビューはネタバレを含みます

私は特定の宗教を持たないが、宗教学に興味があるので、予告編を見て面白そうだと思って映画館で見た。が、予想以上にキリスト教の布教映画で、かなり困惑した。

なににって、クリスチャン・バンドによる主題歌が素晴らしいもんだから、ラストのライブシーンで飲み込まれそうになって…

DVDなら距離を置いて観られたのだろうが、映画館であの熱狂の擬似体験をしたことで、なんだか少しハイな気分になりかけたことに、かなり困惑した。

宗教勧誘ってこういう感じなのかな!そういう意味では稀有な体験ができたが、時間が経つにつれて怒りが…湧いてきてしまって。

序盤はなかなか面白かったのだけれど、後半にかけて、徐々に雲行きが怪しくなってくる。アカデミックなキャンパスものに見せかけて、反知性的な展開、結末を迎えるなんてどういうことなのか。宗教学者の感想を知りたいぞ!

個人的には、特定の宗教を否定する気はないし、人の数だけ宗教は存在すると思っているし、信仰は個人の自由だと考えている…別に、「俺たちの信仰する神様マジ最高だし、俺たちの宗教マジ最強」って主張する映画があっても文句は言わない。ただ、それとこれと、作品の出来不出来についての評価、感想は全く別…

神を冒涜したからって唐突に事故で死ぬとは何事なんだ…そこは議論で説き伏せていって欲しかったし、それをさせられなかったのは脚本家の筆力の問題ではないか…? こいつ改心しそうにないし殺しちゃえってか? とても理性的とは言えない、強引でご都合主義的な展開…神の意に沿わない者には死を、なんて天罰の描写にしたって酷すぎるぞ。

だってさ、「神を冒涜すると天罰がくだる」そんなのわざわざ映画にするようなことかね? ナンセンス・コメディなら兎も角…主人公が大学生ではなく小学生で、子供向けの道徳教育用映画なら兎も角…どうなってるんだ…と。

挙句、音楽の力で全てをハッピーに覆い尽くす、あの感じ。不信心者の死には目もくれない、むしろ嘲笑うかのようなラスト。ものすごい悪趣味だし、露骨な大衆誘導、集団催眠の一種だと感じたぞ…

お前らの神ってそんなに狭量なのか、結局思考を放棄してるじゃないか、それでいいのか? と作り手たちに問い詰めたいくらいだが、話が噛み合わなさそうなのが悩ましいところ…

題材もシチュエーションも悪くないと思ったが、作り手の視野があまりに狭いし、脚本があまりにチープで各方面に配慮が足りていない、強引な演出も不誠実だと感じたし、排他的な姿勢は全く評価できない…

大学に夢見てるからかなあ…学問にもいろいろあるとは、わかっちゃいるが…

敬虔なクリスチャンが盛り上がる為の、内輪向けの映画だと感じた。そういう意味で、強烈な異文化体験が出来る作品ではあるが、なんというか、学生の自主制作映画を見てコメントに困る感覚に近い…評価不能。私には良さが伝わってこなかった。

2018.6.2.追記
『ダニエラ 17歳の本能』を見てかなあ、ナルホド、キリスト教福音派には大衆に布教・伝道しなくちゃいけない教義があるのか…と知って、多少見方は変わったけれど…金がかかる映画製作、宗教、布教、伝道が絡むならと出資してくれるひとたちがいる、という現実に、世知辛いものを感じ…宗教ねえ、ハリウッド映画にもいろいろあるんだなと、改めて…
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