爆裂BOX

オキュラス 怨霊鏡の爆裂BOXのレビュー・感想・評価

オキュラス 怨霊鏡(2013年製作の映画)
3.6
引っ越した新居で父親が妻を殺害し、父親も撃たれ死亡する事件が発生する。11年後、残された姉弟は事件が鏡の魔力であることを証明し、鏡を葬り去る事を決意するが…というストーリー。
マイク・フラナガン監督がカレン・ギランとブレント・スウェイツ主演で贈る呪われた鏡ホラーです。
狂った父親が母親を射殺し、その父親を射殺して精神病院に入院していた弟ティムが退院して戻ってきたのを契機に姉ケイリーは過去の事件が呪われた鏡が原因でることを証明しようとするという内容です。
フラナガン監督らしく派手な血飛沫やジャンプスケアに頼ることなく、11年前の過去と現在を巧みに交錯させながら幼少期に何が起こって、そして姉弟はどういう戦いをしようとしているのかを薄気味悪さを漂わせた語り口で描いていきます。
新居に引っ越してきた一家が運び入れた鏡によって、徐々に家族に不和と疑心が芽生えて侵蝕していき、その果てに父親が狂い、母親が獣のようになって壊れていく様がジンワリした恐怖演出で描かれていきます。
現在のパートでは鏡の魔力を証明する為、鏡の前にカメラや計器類を設置して不自然な温度変化や植物が枯れたりするといった超常現象の類を科学的客観的に捉えようと指定く展開が面白いですね。姉ケイリーが意識を失った時に備えて事情知らない恋人に定期的に連絡入れてもらったり、食事や水分補給の為のアラーム用意したりと事前準備具合が凄いです。このちゃんと準備万端備えて怪異に挑む姿勢は結構新鮮でした。
また、超常現象主題ながらも、無暗に肯定するんじゃなく、父親は浮気していてその罪悪感やそれによる母親のノイローゼ、フリーになって安定しない仕事などの不安感から押し潰されて壊れて惨劇を引き起こしたのだと現実的な考えを打ち出しながら、それが崩されていく事により恐怖感を出していく演出も良いですね。
ゴア描写はほぼないですが、指の怪我にまいたカット版はがしてるつもりが爪剥してたり、齧ってたリンゴが電球にすり替わってて噛み砕いたガラスで口の中血塗れ等の痛覚を刺激してくる描写が割ときつかった。
鏡が見せる幻覚によって何が現実か分からなくなっていく展開も魅力的でした。終盤では過去と現実が絡み合って更に何が現実か分からなくなっていきますね。
母親役のケイティー・サッコフの終盤で見せる獣の様に姉弟を追い掛けてくる姿も迫力ありました。
結局何も太刀打ちできず迎えるバッドエンドもホラー映画としては正解と言えますね。ティムは真っ当な生活送るつもりでいたのにな…百戦錬磨の魔の鏡に挑んだのが間違いだったのか。
全体通してよくできてるけど強く印象に残るシーンが無かったのは残念かな。とはいえ、ホラー映画としては良くできてる秀作の部類に入る作品だと思います。