生まれつき耳が聞こえず、話すこともほとんど出来ない障害を抱えた主人公のバルフィ。彼の波乱に満ちた半生を描いたインド発のコメディドラマ。
良い映画というのは、オープニングでどれほど
見る人を引き込めるかというのを聞いたことがありますが、この映画はまさにそれが当てはまる作品。
ド頭の曲の歌詞が面白すぎるし、その後のジャッキー・チェンのアクションかと思うほどのドタバタ追跡劇で掴みは完璧。この時点で、もう髙得点は間違いないなと確信が持てたくらい。笑
バルフィの聞こえないし、喋れないというハンデを逆手に取ったキャラ作りの上手さに驚きました。まるでチャップリンの喜劇のような身振り手振りで、常に笑いを提供してくれます。(実際監督もチャップリンを意識していたみたい)
その彼に惹かれる2人の女性。資産家と婚約中のシュルティと、自閉症を持つジルミル。この2人の人生もバルフィとの出会いによって、ドラマチックに彩られます。
コミカルな雰囲気が中心でありながら、切なさが心に染み入るシーンがいくつもあり、特にラストのバルフィとジルミルの再会の場面。その場にいるシュルティの気持ちを察すると、より強い切なさが感じられる場面でした。
バルフィ役のランビール・カプールをはじめ、キャストの皆さんは凄腕の演技を見せる方々ばかりで、その面でも凄さを実感。
ただ面白いだけでなく、じっくりと味わえる作品。長めの時間も気にさせない映画作りの巧さが光る秀作です。