YYamada

6才のボクが、大人になるまで。のYYamadaのレビュー・感想・評価

3.4
【戴冠!ゴールデン・グローブ賞】
 ~オスカー前哨戦を制した作品たち

◆第72回(2014)G.グローブ作品賞受賞
 (ドラマ部門)
◆同年のアカデミー作品賞
『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』

〈見処〉
①12年間に及ぶ、壮大な成長の記録
・『6才のボクが、大人になるまで。』(原題: 『Boyhood』)は、2014年にアメリカにて公開されたドラマ映画。
・舞台は、米テキサス州。6歳の少年メイソンは、姉サマンサと共にシングルマザーの母オリヴィアに伴われ、ヒューストンに転居し、思春期を過ごす。アラスカから戻って来た父との再会や母の再婚、義父の暴力、初恋などを経験し、大人になっていくメイソンは、やがてアート写真家という将来の夢を見つけ、母親のもとを巣立つ…(eiga.comより抜粋)
・本作は『ビフォア・サンライズ』三部作のリチャード・リンクレイター監督が、ひとりの少年の6歳から18歳までの成長と家族の軌跡を、実際に2002年の夏から2013年の10月までの12年間を通して断続的に行われた。
・主人公の少年メイソンを演じるエラー・コルトレーン、母親役のパトリシア・アークエット、父親役のイーサン・ホーク、監督の実娘で姉役のローレライ・リンクレーターの4人の俳優が、毎年「2週間だけの家族」を12年間演じ続け、「完走」出来た。
第87回アカデミー賞では作品賞、監督賞、脚本賞ほか計6部門で候補に挙がり、アークエットが助演女優賞を受賞している。

②リンクレイターとイーサン・ホーク
・メジャーからインディ映画に至るまで、製作作品の守備範囲の広いリチャード・リンクレイターが本作の企画化を始めたのは、『スクール・オブ・ロック』(2003)よりも以前。
・「資金回収まで12年以上要する」「カリフォルニア州の法律のため、キャストと7年以上に渡る契約書ができない」ハイリスクなプロジェクトを、リンクレイターは『ビフォア・サンセット』(2004)を企画中のイーサン・ホークに相談。「撮影期間中にリンクレイターが死去した際は、イーサンがプロジェクトを引き継ぐ」約束のもと、本作を製作。
・イーサン・ホークとリチャード・リンクレイターは計5作を共作する「盟友」。うち計18年に渡る『ビフォア』三部作が有名であるが、その半分以上を占める期間におて、二人は本作を製作し続けたことになる。

③結び…本作の見処は?
○: 『ビフォア』三部作同様に、日常的な会話を中心とした自然体の作品。
○: 12年経ったイーサン・ホークのグッドシェイプぶりに感心。
▲: 前後シーンでどれだけの期間が経年したのか分かりづらい。作中に登場した大統領選のエピソード以外にも、実際の(過去の)ニュースの上書き、経年を明確に出来た気がする。
▲: イーサンの若々しさに比べ、母親役の女優を痛々しく見ていたが、途中で『トゥルー・ロマンス』のパトリシア・アークエットであったことに気付く。増量した体型が意図的でないとしたら、悲しすぎる変貌ぶりであるが、本作にてアカデミー助演女優賞を受賞したのは、大したものだ。
×: 3時間近い作品に対し、ストーリーは非常に平坦。2日連続の「寝落ち」は避けられなかった。
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