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ショート・タームのkuuのレビュー・感想・評価

ショート・ターム(2013年製作の映画)
3.8
『ショート・ターム』
(原題 Short Term 12.
映倫区分 G.
製作年 2013年。上映時間 97分。

10代の少年少女を対象とした短期保護施設を舞台に、誰にも言えない心の傷を抱えた女性と子どもたちが、大切な誰かとともに生きる喜びや希望を見出していく姿を描いたアメリカ産ヒューマンドラマ。
2013年のサウス・バイ・サウスウェスト映画祭でプレミア上映されて審査員特別賞を受賞し、そのほか多数の映画賞で話題となった一作だそうです。
また、今作品は、短編映画Short Term 12(2008)からの長編化。

ティーンエイジャーを預かる短期保護施設(ショート・ターム)で働いているグレイスは、同僚でボーイフレンドのメイソンとの間に子どもができたことがきっかけで、幸せな将来が訪れると希望を抱く。
しかし彼女には、メイソンにも打ち明けられない深い心の傷を抱えていた。

インディー・ジェムって言葉がある。
日本語やとインディーズの宝石、しいては隠れた至宝みたいな意味合いかと思います。
映画祭で上映されたり、ごく限られた短い期間だけ劇場公開されたりして、感動を呼び起こすことができた小さな映画に対する敬意を表した言葉だそうです。
善きの作品は、人々を駆り立てて、知り合いに時間を割いてでも見るようにと勧めてくれる。
脚本家兼監督であるデスティン・クレトンの最新作が個人的には将にこれかな。
作中には、善き前提条件を提示しときながら、不完全な実行で我々を失望させるものがある。
しかし、今作品は、その前提から予想されるよりも、実際には良い作品でした。
クレットン監督の準ドキュメンタリー的な演出スタイル、ジョン・ギャラガーJr(メイソン)、ケイトリン・ディヴァー(ジェイデン)、キース・スタンフィールド(マーカス)が演じる脇役たちの巧みな演技、ほんでブリー・ラーソン(グレース)の見事な主役ぶりに嵌まりました。
グレースとメイソンは、里親施設の運営を手伝っている。
見てる側は、彼らが日々子どもたちと接している様子を目の当たりにするけど、その中にはごく平凡なものもありゃ、信じられんほどパワフルな瞬間もありました。
グレイスとマーカスは、こないな生活と個人的なつながりがあり、また、偶然にも、日々の仕事におけるコミュニケーションや、つながりを避けることで成り立っているような関係にある。
コミュニケーション・デバイスとしてのアートは、全編を通じて重要な役割を担っています。マーカスはラップの歌詞を使い、新人のジェイデンは絵を描き、童話を書く。
この2人の子供たちは、メイソンとグレースの内面を映し出す鏡でもあり、普通の人生を送ろうと悪魔と戦う彼らの姿を見ることができるし、特に重要かな。
これは聖人や罪人の物語やないけど、ただ、配られたカードを握ろうとする人々の物語でした。
今作品は、技術的に優れているわけやないけど、感情を揺さぶられる作品やったし、笑い、心の底から哭き、そして全体的にリアルに感じました。また、驚くほど素晴らしいつながりがあったし、生々しく、力強く、リアルで、驚くべきものでした。
今作品は、放置された若者を描き、人間関係を珍しく見つめ、世の中の恐怖を明確にし、ほとんどの映画がこれまで見せたことのない新しい視点を持ってました。
個人的には この映画をインディー・ジェムだと思っています。
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