チッコーネ

赤い部屋の恋人のチッコーネのレビュー・感想・評価

赤い部屋の恋人(2001年製作の映画)
4.2
成功を収めたナードとストリッパーの恋物語だが、若者気質に切り込んでいく生々しさが素晴らしく、濡れ場にも熱い情感がこもっている。

男性主人公には、常にモラトリアムな雰囲気が漂う。
その無邪気が打ち砕かれる過程を丹念に追う作風の中には、ジョン・ヒューズ映画のような苦く切ないセンチメンタリズムが。
対して相手に心を揺さぶられながらも、自らの矜持を頑なに守り切る女性主人公の姿は強く、ハードボイルドだ。
ほとんどふたりが出ずっぱりの作品だが「前立腺がないのにトコロテンする」壊れたサブキャラ女が絡み、不謹慎な笑いを運ぶ。

初期デジタル撮影が活用されたロケ場面の画像は粗めだが、その他の場面は照明のセンスも良く、インディタッチの才気が漂う。
オープニングから懐かしのLAIKAが流れるなど、音楽にはトリップホップ系が多用されている。