みおこし

英国万歳!のみおこしのレビュー・感想・評価

英国万歳!(1994年製作の映画)
3.5
イギリスが分かる映画シリーズ。なぜにパッケージ写真が無いのか...?!(笑)ヘレン・ミレン、ナイジェル・ホーソーンというイギリス名優コンビによる、王室が舞台のブラックコメディ。

時はハノーヴァー朝。ジョージ3世は活力溢れる立派な国王だったが、ある日突然精神的に病んでしまい、奇行が目立つようになる。妃のシャーロットはじめ、周りは献身的に彼のサポートをするが、一方でその事態を好機ととらえ、その地位を脅かす者も現れ始め...。

国王のご乱心を描いた、かなり異色の歴史もの。実際にジョージ3世は、精神を病んでしまった時期があったとのこと、決してフィクションではなさそうです。彼がかかったのは、ポルフィリン症という病気。若い時に初めて発症し、壮年になってからまた再発したらしいです。なので本作は壮年の時の発症を描いているのかな?
作中でも下腹部の痛みを感じて倒れてしまうシーン、排泄物が青色を帯びているのを家臣が発見するシーンがあったのですが、その兆候とともに呆けが始まってしまうという恐ろしい疾患だそうです。一国の君主がそんな病気になってしまうなんて、本人も周りもそれはそれは大変だったろうなと...。ユーモアたっぷりに描かれているシーンもありましたが、ある意味悲劇としても捉えられる作品でした。

積極的に内政に取り組んだ立派な王様、しかもシャーロット王妃とラブラブで愛人も作らず、15人もの子供に恵まれたという逸話の持ち主。ナイジェルとヘレンがそんな2人を仲睦まじく演じていて、ほっこりしました。だからこそ、ジョージ3世が本来の彼とかけ離れた行為を重ねるたび、シャーロットが涙にくれるシーンが辛かったです...。それでもめげずに支える奥様、これぞ究極の夫婦愛!!本作で2人ともアカデミー賞ノミネートされています。

ラスト、ネタバレになるので伏せますが、個人的には最高のエンディングシーンでした。ジョージ3世、かっこよすぎ...!!鳥肌ものでした。これぞ君主たる姿。
イギリス王室の歴史に興味がある方は必見!小ピットこと、当時のピット首相も登場します。
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