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コードネーム U.N.C.L.E.のkuuのレビュー・感想・評価

コードネーム U.N.C.L.E.(2014年製作の映画)
3.9
『コードネーム U.N.C.L.E.(アンクル)』
原題 The Man from U.N.C.L.E.
映倫区分 G
製作年 2015年。上映時間 116分。
1960年代の人気テレビシリーズ『0011ナポレオン・ソロ』を、ガイ・リッチー監督が新たな視点で映画化(ガイ・リッチーにとって、完全にデジタルカメラで撮影された最初の映画)。
トム・クルーズはナポレオン・ソロ役にキャスティングされていたが、代わりに『ミッションインポッシブル/ローグ・ネイション』(2015年)に集中することを選んだため、彼は降板したそう。
カヴィルはその後、『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』(2018年)でトム・クルーズと共演しとったなぁ。
イリヤ・クリヤキン役には、当初候補に挙がっていたヘンリー・カヴィルがキャスティングされた。
また、当初はスティーヴン・ソダーバーグが監督を務める予定やったそうやけど、キャスティングの懸念や予算に関するスタジオとの意見の相違を理由に降板したそうな。
東西冷戦下、CIAとKGBのエージェントが協力し合い世界規模のテロ事件を阻止すべく奮闘する。プレーボーイのソロと堅物クリヤキンという水と油のスパイコンビを、『マン・オブ・スティール』などのヘンリー・カヴィルと、『ローン・レンジャー』などのアーミー・ハマーが熱演。そのほか『アンナ・カレーニナ』などのアリシア・ヴィキャンデル、ヒュー・グラントらが脇を固める。

再視聴。

東西冷戦の最中の1960年代前半。
CIAエージェントのナポレオン・ソロ(ヘンリー・カヴィル)とKGBエージェントのイリヤ・クリヤキン(アーミー・ハマー)は核兵器拡散をたくらむ謎多き国際犯罪組織を制圧するために、長年の政治的対立を超えて手を組むことに。
思考や方法論も真逆の二人は、組織につながる手掛かりである行方をくらました科学者の娘を守り、核兵器の大量生産を阻止すべく奔走する。。。

今作品が1960年代という時代に留まった理由のひとつは、ジェイソン・ボーンを演じるマット・デイモン主演の『ボーン』シリーズや他のスパイ・スリラーのように現代を舞台にした作品とは一線を画す、独自の世界、独自のリアリティ、独自のトーンを持たせるためだったのもあると思う故、独特な世界観を堪能できる。

ガイ・リッチーの今作品は、半ば記憶も曖昧な同名のTVシリーズから生まれた。
ソ連とアメリカの2人の高名な諜報員が、新型の謎の原爆を精巧に開発する裕福なファシスト残党に対抗するため争うことになる。
60年代初頭、霧に包まれた東ベルリンから陽光降り注ぐローマまで、当時のソフトなイタリアン・ポップミュージックにのって展開し、様々なサブジャンルのスタイリッシュな映像が見れる。
ヘンリ・カヴィル(2013年『マン・オブ・スティール』)は、ジェームズ・ボンドと世界最高のスパイを自称するスターリング・アーチャーを混ぜ合わせたような小粋な詐欺師ナポレオン・ソロに扮し、CISのために働くKGBの同僚で頭脳明晰な機械イリヤ・クリヤキン(アーミー・ハマー)と、任務中の手法や技術装備の違いで互いを嘲笑う。
リッチー監督が決して欠かすことのないユーモアは、ウィットに富み、時に暗くて、しかし、常に適切で、ほとんどすべてのフレームを埋め尽くしているため、退屈する暇がない。

他のハリウッド映画にありがちなステレオタイプにとらわれないロシア人のキャラに脱帽した。
今作品のロシア人男性は、『ロッキー』のイワン・ドラゴや『レッドブル』のイワン・ダンコ大尉みたいな悪趣味なエセ・ロシア人よりも、スティーブ・マックイーンとの共通点の方が多い。
リッチー監督は、彼のフィルモグラフィーのほとんどで見せたロシア人に対する知識と感情をすべて集約し、過去のKGBのロシア人をリアルに作り上げている。
リッチー監督が国籍もイデオロギーも異なる2人の男を公平に描き、2人に等しく共感できるようにしたことは大きい。
よく演出されたアクションシーンでは、1人の人物がもう1人の人物を完成させ、いざというときには、それぞれの男が相手を救うために思いやりと勇気を見せる。
しかし、今作品のヒーローは2人だけやない。
若くて可愛いイギリス人潜入捜査官ガビ(アリシア・ヴィキャンデル)は、彼らの計画に従ってクリヤキンの魅力的な妻を演じなければならない。偽の結婚相手のベッドシーンは期待しないほうがいい。
ロシアとイギリスの諜報員はキスを試みただけだが、よりホットな役はナポレオン・ソロとヴァンプの女ボス、ヴィクトリア(エリザベス・デビッキ)に与えられている。
小さな役はヒュー・グラントが担当し、彼はまるでケーキの上のアイシングのように暗い色をしている。
他の俳優の中には、高級なスピードカーや素敵なスーツ、たくさんのイタリア人の口ひげもいた。

今作品は、ヴィンテージの香りが漂う鮮烈なイメージで、プロット全体を通して、スタイルはいたるところにある。
服装、武器、車、盗聴器、スパイ技術。
映画は個人的にはリラックスして観れる。

リッチー監督のわかりやすいダイナミックな編集、構成で、今作品はスパイ映画の流れの中で際立っていると個人的には思います。。
爽快で、滑稽で、ダイナミックで、笑ったり、息を止めたり、あるいはちょっと考えさせられたりする。
一味違うスパイ映画の今作品は、内容をチョイ忘れた頃に観て楽しめる面白い作品です。
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