YYamada

コードネーム U.N.C.L.E.のYYamadaのレビュー・感想・評価

コードネーム U.N.C.L.E.(2014年製作の映画)
3.6
【ブロマンス映画のススメ】
~恋愛ではない男性同士の熱い関係

◆本作が示す「ブロマンス」:
「敵の敵は味方!?」
共通のミッションを通じて、
互いをリスペクトしあうライバル関係

◆作品のジャンル:
 スパイ・アクション

〈見処〉
①冷戦下のスパイ活動を描く、アクション大作
・『コードネーム U.N.C.L.E.』(原題: The Man from U.N.C.L.E.)は、2015年に製作されたスパイ・アクション映画。
・本作の舞台は1960年代半ば、東西冷戦の最中のヨーロッパ。アメリカのCIAとソ連のソ連のKGBは、核拡散を狙う謎の国際犯罪組織を制圧するため、政治的対立を超えて手を組むことになった。
・核兵器科学者のウド・テラー博士の娘である東ドイツ人のギャビー・テラー(アリシア・ヴィキャンデル)の脱出時に対峙していた、CIAエージェントのナポレオン・ソロ(ヘンリー・カヴィル)とKGBのイリヤ・クリヤキン(アーミー・ハマー)は、ギャビーととめに、イタリアにある組織のフロント企業「ヴィンチグエラ」による核兵器の大量生産を阻止すべく、身分を偽りスパイ潜入を断行する…。
・本作は、1960年代に放映されたテレビドラマ『0011ナポレオン・ソロ』のリメイク作品。当時の東西ドイツやイタリアの時代背景をもととした服装や音楽により、非常にスタイリッシュな作品となっている。
・本作が公開された2015年は『キングスマン』『MI:5』『007 スペクター』などのスパイ映画大作が続々公開されたが、そもそものスパイ映画のルーツは、本作と同じ冷戦下の60年代に遡るもの。
・なお「U.N.C.L.E」 は「United Network Command for Law and Enforcement」=「法執行のための連合司令組織」を差し、本作では同組織が組成されるまでが描かれている。

②ガイ・リッチーの演出
・本作の監督ガイ・リッチーは、前述の『キングスマン』の監督となるマシュー・ヴォーンと製作した『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』(1998)、『スナッチ』(2000)による華々しいデビューを飾り、ダニー・ボイルとともにイギリスを代表する気鋭の監督として評価された人物。
・その後、歌手のマドンナと結婚。彼女を主演とした監督第3作『スウェプト・アウェイ』(2002)がケチのつきはじめ、以降の製作作品は厳しい評価の連続。
・ロバート・ダウニー・Jrを主演に迎えた
『シャーロック・ホームズ』2作(2009・2011)にて、久しぶりの商業的な成功を得たリッチーが次作品に選択したのは、同じアクションものの本作。
・本作では、彼の得意とするスタイリッシュでハイテンポの作風がマッチ。興行面はイマイチながら当たりハズレの大きいガイ・リッチーにとっては、十分な合格レベルの作品となる。
・本作のラストはシリーズを想起させるエンディングであり、主演のアーミー・ハマーは続編を待望するコメントを発信しているが、ガイ・リッチーの次作『キングアーサー』(2017)にてハリウッド史上最悪レベルとなる1億5000万ドルの赤字となり、ガイ・リッチーによる本作シリーズの製作はないものと考えるべきだろう。

③結び…本作の見処は?
○: 60'sのドラマ風のレトロでスタイリッシュな映像にコメディ・エッセンスも適度に配合された、ガイ・リッチーの演出が冴え渡る良作。
○: 出演陣の美男美女ぶりが凄い。とくにアリシア・ヴィキャンデルは、前年の『エクス・マキナ』以降、立て続けに大作に出演する「全盛期」の美しさ。
▲: 続編を視野に製作された本作では、スパイ2人の人物像の描写は不十分。
▲: 適度のコメディとスタイリッシュな演出により、『ミッション・インポッシブル』や『007』シリーズに比べ、アクションシーンの緊張感は薄い。『キングスマン』と『MI:』シリーズの中間くらいのポジショニング。
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