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ジュピターのトルーパーcomのレビュー・感想・評価

ジュピター(2014年製作の映画)
1.5

#ジュピター
ウォシャウスキー監督のSF映画。キャストは割と豪華な珍作SF。
マトリックス新作公開タイミングで、同監督作復習中に初観賞。


■ストーリー
シカゴで日々トイレ掃除をさせられているヒロインの主人公。彼女実は宇宙を牛耳る巨大帝国の女王の生まれ変わりでした。

女王の身柄をめぐる宇宙規模の壮大な奪い合いが勃発し、空飛ぶ狼男チャニングテイタムが活躍するよ!...的な話。


■CG
ストーリーやキャラクターはけっこう厳しいんですが、CGビジュアルだけは大迫力!
...てことでもないです。

ところどころ、すげえ金かけてんなっていう宇宙船や都市のCGは出てくるけれども、実在感がないというかなんというか。
衣裳もコスプレ感ハンパないし、一瞬アガりかけるガジェットも適切に活用されないシーン多めの残念な出来。


<以下、ネタバレあり感想>




■世界観
ドラゴン人間みたいなファンタジー感ある種族とか、サイバーパンク的なアンドロイドとかごちゃまぜ。忍者や攻殻機動隊のバトーみたいなやつも出てきて、日本文化の影響もあったり。

それでいて、あからさまにスターウォーズパクったようなスピーダー出てきたり、宇宙船はアメリカのSF映画っぽかったりで、あまり統一感がなかったような気がする。

同監督の『マトリックス』シリーズや『クラウド・アトラス』のSF描写はかなり良かったのに、なぜこうなってしまったのか。

最後テイタムがパワードスーツみたいなのに搭乗するのでそこはワクワクしたけど、結局ロボットバトルとかはなかったのも謎。


■アクションシーン
テイタムが空飛ぶブーツで無双するシーンはそれなりに楽しいけれど、毎度合成が残念だった。

特にシカゴのシーン、ビル破壊されまくってものすごいことやってるのに、破壊される街の市民の姿が一切出てこないのがダメだと思う。
静かなシカゴの夜景に適当に合成しました感ありあり。

それでいて「ビルは直るし、人々の記憶は消えるから大丈夫」ってそんな雑な説明あり!??

トウモロコシ畑のシーンに至っては、自主製作映画をウチの裏の畑で撮りました感しかない。


■サプライズのなさ
地球の人類は実は大いなる宇宙帝国たちの家畜でした的な話。
自覚のない奴隷的な存在に、救世主が誕生して解放するっていう、ウォシャウスキー作品の定番パターン。

なんだけど「実は地球人たちは悪いやつらの若さを保つための養分だったのだ!なんだってー!」の驚きがまったくなかった。

原因は、悪の宇宙三兄弟が最初っから悪いやつです感ありありで登場するからだと思う。

最初醜いエイリアンが襲ってくるけど、ニコニコ美形の三兄弟が助けてもてなしてくれて、その後初めて裏切り、であればぜんぜん違った気がする。

だけど、この設定「なんて悪いやつらなんだ!」ってなる一方で、現実世界で人間が鶏や豚にやってることと一緒なんだよね。。。
なんかそう考えるとヴィーガンになる人の気持ちが少しわかったような。


■キャラクター

◆ジュピター・ジョーンズ(ミラ・クニス)
貧しくも心の美しい女性が宇宙帝国の女王の生まれ変わりでした、というシンデレラ的なキャラ。なんか何もしてないのに選ばれし人で、終始テイタムに守られてるだけのヒロイン。

演者は『ブラック・スワン』(2011)でナタリーポートマンのライバル役だった人。

キャスティングが良くなかった気がします。この設定だったら、もうちょっと若くて幼さやフレッシュさのある女優が良かったと思う。

『ヴァレリアン』(2017)のカーラ・デルヴィーニュみたいに、ヒロインのビジュアルだけで映画を引っ張れるようなキャストにすべきだった。

この女優さんを使うんだったら、設定を活かして、悪役の母親(女王)と一人二役やればまた少し印象も違ったかもしれない。


◆ケイン・ワイズ(チャニング・テイタム)
空飛ぶブーツで画面を縦横無尽に飛び回る狼男。とりあえずヒロインを助けにくる人。

終盤、悪い弟との結婚を阻止するために助けにきて、それが終わったら次は悪い長男との結婚を阻止するために助けにくるっていう天丼展開が謎。
ここまできたら最後は狼男との結婚式があるのかと思いきやそれはないという謎。ヘタクソか笑

付け耳が古典SFみたいで笑うけど、映画の中で彼だけは常に頑張ってました。


◆スティンガー(ショーン・ビーン)
ショーン・ビーンなので苦しそうな顔しながら裏切るけど、まさかの死なないショーン・ビーン。

◆バレム(エディ・レッドメイン)
悪い宇宙人(長兄)。オスカー俳優の無駄遣い。小者臭しかしないしょうもないキャラだった。悲しい。

◆タイタス(ダグラス・ブース)
悪い宇宙人(弟)。なんか劇団ひとりにそっくりで、綺麗事で主人公をだます時、「僕はウソついてます」って顔に書いてあった気がした。割と好き。

◆カリーク(タペンス・ミドルトン)
悪い宇宙人(姉)。あからさまに若い美人女優が老けメイクしてます感ありありのビジュアルで登場してきたので、秒でネタバレしてしまった感あり。でもまあ綺麗な人だった。それだけ

◆ヴァネッサ・カーヴィー
下着姿で宇宙人にさらわれる主人公の友人というチョイ役でヴァネッサ・カーヴィーが出てきてめちゃくちゃびっくりした。
目のやり場に困るよ。こっちのほうが女王の生まれ変わりでもいいよ。

◆テリー・ギリアム
『未来世紀ブラジル』(1985)をあからさまにパクった宇宙お役所仕事のシーンでまさかのカメオ出演。これは笑う。
このシーン、30秒くらいなら爆笑でネタになったと思うんだけど、延々としつこくやりすぎな気がした。

◆父親(ジェームズ・ダーシー)
序盤、秒で殺される主人公の父親は『エージェント・カーター』のジャービスさんの人。
ウォシャウスキー作品によく出るね。


【スコア】
★1.5で。
公開時劇場スルーしたけども、まさかこんな作品だったとは。金かかったB級珍作SF。
これはけっこうアレな出来ですね...という感じです。
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