このレビューはネタバレを含みます
【deeds not words】
英国を舞台に、参政権運動に身を投じた女性達の話。
50年間平和的に訴えても聞き入れてもらえない、だから言葉でなく行動で示せと、指導者Pankhurstが叫びます。ならば、各職場で女性職員だけストライキすれば良いのに、失職を恐れてそれほど賛同者が集まらないのでしょうかねぇ。彼女らが選択する手段は徐々に過激になり、まさしくテロ行為へと発展します。集会だけで警官から暴行を受けるのはやるせないけど、明らかな犯罪行為に対して投獄される点には同情しません。
独立運動や公民権運動においても、様々な活動が行われてきましたが、GandhiもMartin Luther King, Jr.も、非暴力を呼びかけ平和的解決を望んだからこそ運動が拡大し、称えられているのです。女性蔑視で抑圧され、長年積もり積もった鬱憤を、参政権運動に乗じてここぞとばかりに晴らしている女性は一人も混じっていないのか?そんな疑問を抱いてしまう反対派もいたでしょう。
Emily Davisonの尊い犠牲でようやく世間の同情と注目を浴びて権利を得られました、と言わんばかりの幕引きが残念です。運動はまだまだ続き、WW1を迎えて彼女らへの見方が変わっていったのです。Emilyの死で終えるなら、映画としては彼女を主役級にすべきです。
主人公Maudが働く洗濯工場で、工場長が少女を弄んでいることなど、皆見て見ぬ振りをしてきたのだと思います。Maudを集会に勧誘したVioletは、長女と共に工場に就職するのですが、いくら新入りでも、そういう悪習を全く耳にしないのか疑問でした。長女がどんな目に合うか心配にならないのか、それとももはや当たり前なのか。DV夫の子供を妊娠したし(喜)、長女は稼ぐし(嬉)、もう活動から手を引くわって、ちょっと!自分の投票権の前に、まずは長女の身を案じなさいよ!
原題が意味するところは、特に英国で過激活動を行っていた婦人参政権論者です。要は女性達の過激派なのです。邦題からそのイメージは湧きません。よって期待外れと感じる観客もいるでしょう。子供と引き離されるシーンなどは泣けましたが、鑑賞後「おばあちゃん達、ありがとう!」という気持ちにはなれませんでした。同情するとすれば、差別化が伝統みたいなお国柄で…、余計に意識改革は大変だったのかも知れません。