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チョコレートドーナツのeyebwのレビュー・感想・評価

チョコレートドーナツ(2012年製作の映画)
3.5
とても良くできた作品だと思う。物語の勘所を上手に押さえていて、多くの観客の感動を誘うように作られている。見事な手腕です。
Alan Cummingの演技と歌声もパワフル。僕はThe Bandのファンだが、I Shall Be Releasedがこれほど胸に響く曲とは知らなかった。
その感動とメッセージ性が、一方ではこの映画の限界でもある。ドラッグ中毒の母親は悪者でいいのか。障害を抱えるマルコの内面は十分に描かれていたか。
この映画はあくまで理不尽な差別と戦うゲイカップルの物語として作られており、他の登場人物は彼らの悲劇の引き立て役にとどめおかれる。あえて意地の悪い言い方をするなら、70年代の同性愛者差別の物語に対して、どちらの側に立つのが正しいことか2012年の観客はすでに知っているのだ。
この物語からこぼれてしまった部分にこそ思いをいたしたい。
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