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はなしかわってのslowのレビュー・感想・評価

はなしかわって(2011年製作の映画)
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彼はあのブリーフケースを軸にして、まるでパントマイムを披露するかのように、NYを放浪している。それはつまり、彼が常に揺るがない信念を持ち、日々を過ごしているということ。ケースの中に思いやりを詰めて、彼は誰のためでもパフォーマンス(労)を惜しまない。わたしにはそう見える。ただ、それは彼の生き方であって、そう考えれば自分のためなのだろうし、とは言え、損得勘定から来る行動ではないとも思える。たとえ大きな成功を逃すことになろうとも、彼はそのように生きてしまうのではないだろうか。お人好しも程々に。もしかしたら、こういう生き方では、幸せにはなれないのかもしれない。ただ、幸せとは何だろうかと。少なくとも、彼にかかわった人々は、その一節に思わず触れた、そんな顔をしていた。
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