かあい

そこのみにて光輝くのかあいのレビュー・感想・評価

そこのみにて光輝く(2013年製作の映画)
3.9
良い作品に出会えた。
ずっと気になってはいたもののなかなか手にとらず、やっと観る事ができました。
綾野剛演じるタツオは不慮の事故で後輩を亡くしてしまい、自分を責め、仕事からも離れ、酒とパチンコに溺れる日々を送っている。
そんな生活の中でひょんな事からタクジ(菅田将暉)と出会い、姉であるチナツ(池脇千鶴)を紹介される。
そこには底辺よりも更に苦しく、淀んだ生活があった、。
この作品は、暗くてどうしようもない深い海のようで、息の仕方を忘れてしまうと、容赦無く飲み込まれていくような危険性や脆さがある。しかしそこには一筋の光があって、タツオとチナツはお互いその光なんだと思う。底辺だって、そこでしか生きられない人たちがいて、そこで輝こうとしている人たちがいる。最初の燻んだ世界とは違う世界が最後には広がっていて、希望があった。朝日に照らされた池脇千鶴は天使のように美しくて、体を売っていた人間とは思えない程輝いてた。
生きるってそんな簡単な事じゃない。けど、誰だってどこにいたって、きっと輝くことはできる。どうしようもない負の日常にだって、ほんのわずかな愛おしさを感じる事ができる作品だった。
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