まぴお

そこのみにて光輝くのまぴおのレビュー・感想・評価

そこのみにて光輝く(2013年製作の映画)
3.5
【いつか来る夜明け】

この世は色んな光で溢れている。

この作品も色んな光そして闇で溢れていた。
淡く二人を包み込む光。暗闇に浮かぶ鋭い眼の光。
賑やかな祭りの光と対照的にどす黒い闇。

一方が輝けば一方の漆黒がくっきりと浮かび上がりそれは少しずつ周りを侵食していく。

主軸となる3人の演技がピタリとはまってる。
原作は男目線の物語だけどそこに女性監督の目線が重なりとても繊細で
透明感あふれる世界観を表現できている。

綾野剛が演じる達夫は女が惚れるギリギリの弱さを表現していて「最高の離婚」の彼とはまた違った色気を感じる。

次に池脇千鶴の演じる千夏。少しだらしない身体から体臭とフェロモンがムンムンと伝わってくる。少女のようなあどけなさと人生を知った大人の表情が入り混じりとても味わい深い。

そして菅田将暉が演じる拓児。上手いなぁ。
表情ひとつとっても彼の演技の幅を感じさせる。
日本のドラマとか全然見ないからまったくノーマークだったよ。
ちょっと彼の他の作品を見てみたい。

この作品そこまで台詞は多くないんだよね。すこし台詞が聞きづらい(笑)
どちらかというと映像効果と彼らの表情や動きで表現している。

だから達夫と千夏が惹かれ合ってるのが表情だけでわかる。
海で求め合う二人もベットシーンも絶妙なエロ具合。求め合う二人がものすごく温かく優しく薄暗い光の中に浮かび上がり思わず自分と重ねちゃったよ。多分これ見て自身と重ねた人は多いはず。それほどリアルな描写なんだよね。キュンときちゃうよね。

止まない雨がないようにどんな夜もいつか朝が来る。
日が昇り少しずつ少しずつじんわり温かくなるような夜明けの情景がとても似合う作品でした。

466本目
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