福福吉吉

FLU 運命の36時間の福福吉吉のレビュー・感想・評価

FLU 運命の36時間(2013年製作の映画)
4.0
◆あらすじ◆
ある日、韓国の都市・盆唐でウィルス感染が始まり、瞬く間に都市を飲み込んでいく。医師のキム・イネ(スエ)は医療現場で増大する感染患者に対応を追われる。一方、イネと知り合った救急隊員のカン・ジグ(チャン・ヒョク)はイネの娘のミル(パク・ミナ)とともに街がパニックの中、突然の軍隊による隔離に遭遇する。

◆感想◆
海外の不法入国者からウィルスが持ち込まれ、韓国の都市を圧倒的な感染力で地獄に変えていく姿を描いており、その中で完全隔離を迫る米軍とそれになびく韓国政治家、感染者の中で巻き起こる不信感と暴動など窮地の中で、それぞれの剥き出しになった感情が伝わってくる作品になっています。

医師のキム・イネは娘のミルを育てるシングルマザーであると同時に、韓国のトップクラスの高度な医術を研究するグループの一員として、ウィルスへの対応を担っています。しかし、ミルの感染が疑われてからは医師よりも母としての心情に突き動かされて行動しており、彼女の必死の行動は心を揺り動かすものがありました。

救急隊員のカン・ジグはバスでイネと出会ったことにより、ミルとも知り合いになり、パニックになる都市の中でミルを守るべく動きます。「人を助ける」ことを第一に考えており、その点で出来過ぎた人物ではあるものの、彼の行動の清廉さに心惹かれるものがありました。

ストーリー展開として、序盤のジグとイネが知り合った後、すぐに感染拡大のシーンが続いていき、すぐに都市はパニックに陥ります。ストーリーの大半が感染によるパニックと軍による隔離に割かれているため、陰気な雰囲気が続くので、観ていて少し疲れました。しかし、これが本作の見どころであり、都市は戦場と化し、一触即発の緊迫感の中で繰り広げられるドラマがとても良かったと思います。

かなりの被害が出ている中、ラストがあっさりし過ぎているようにかんじて、もっと被害について突っ込んで描いても良かった気がします。

なかなか面白い作品でした。韓国と米軍、韓国軍と感染者たち、ジグとイネとミルといったストーリーが交錯しながら進んでいき、これ以上ない緊迫感と絶望感、その中でも生きたいと思う心がうまく描かれていました。

鑑賞日:2023年12月7日
鑑賞方法:Amazon Prime Video
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