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パラダイス 希望のtaominicocoのレビュー・感想・評価

パラダイス 希望(2012年製作の映画)
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『パラダイス』3部作の3作目「希望」。

完走してやっと、この3部作で監督が言いたいことが少し分かった気がします。

1作目の「愛」でウンザリしたわたしの背中を押してくれた、フォロワーの @のんchan さんのおかげです。ありがとうございます😊

さて、本作は「愛」の主人公テレサの娘、メラニーの初恋の話。
母似なのか、13歳にして80Kg越えの豊満ボディのメラニーは、ダイエット合宿に放り込まれます。

合宿は辛いながらも、同部屋の子たちとガールズトークを楽しんだり、たまにハメを外して王様ゲームをしては教官や担当医ら大人に怒られるという、たわいのない生活を送るメラニー。

そんな彼女は、施設の担当医に恋をしてしまいます。年齢が不明だけど、30歳は歳上かと。

この担当医、メラニーが好意を寄せているのを知っていながら、邪険にはせず、なんだかんだ気にかけいる。
メラニーのことを好きなんだろうな……と思っていたけど、医師の暗くて変態的な愛の表現を見たときに、ゾッとしました。
あなたはまともな人だと思ってたのに!

本シリーズに登場する大人が、変人ばかりです笑。ねじ曲がった狂気にゾワゾワ、モゾモゾしっぱなしでした。


シリーズを完走して思うのは、人は誰しも何かしら「パラダイス」を求めていて、それが人生の励みであり、生き甲斐になっている。
だけど、年齢を重ねて得た多くの情報と経験のせいで、大それた「パラダイス」を求めるんではないか?と。

「愛」のテレサは、見かけでなく本当のわたしを見てくれる若い男と愛し合うこと、「神」のアンナは、自分の信仰が示す理想の美しい世界を手に入れること。

大それた「パラダイス」を求めてるが故に、思い通りにならないと、常軌を逸した行動に走る。それが虚しく滑稽で、痛々しい……。

だけど、壮年になった彼女らにもメラニーのような「好きな人に、振り向いて欲しい」といったシンプルな「パラダイス」を求めていた頃もあったはず….…。


急に韓国映画を引き合いに出しますが、本作を観て、イ・チャンドン監督の『ペパーミント・キャンディー』を思いだしました。
「あの頃に戻りたい!」と叫ぶ主人公の人生を、現在から過去へ遡る名作です。

狂気に支配されたどうしようも無い男にも、一途に好きな人を思う純真な青年時代があり、時の経過の残酷さを痛感させられます。あの時と似た感覚を覚えました。


メラニーはこの先、彼女なりの「パラダイス」を見つけることができるのだろうか。
そこに「希望」が託されているような気がします。


余談>>>

本シリーズでぽっちゃり体型がクローズアップされてたので気になり調べました。
WHO調べに寄ると、オーストリア成人女性の肥満率は17.1%。
全世界平均よりはやや下あたりです。

ちなみに日本は3.5%!
欧米のおばちゃんがやけに大きく見えるのは、ああいう体型に見慣れてないせいかもしれません💦
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