FutosiSaito

アクト・オブ・キリングのFutosiSaitoのレビュー・感想・評価

アクト・オブ・キリング(2012年製作の映画)
5.0
 我が身。自分のこととして受け止めないと。
 共産主義者を、そう決めつけられた者も含めて1000人殺したという主人公。その仲間たちが、当時の尋問・拷問や虐殺を自ら演じて再現する。
 彼らは現政権にとって英雄なので、罪悪感はない。
 嬉々として、被害者役も演じる。
 教養のないチンピラやヤクザの若者「プレマン」(フリーマン=自由人が語源)だから、発展途上の国だから、こんなことが起きたのか。
 甘かった。
 これは、監督の国、アメリカのことだ。ベトナムや原爆で何をしたのか。
 日本のことだ。中国(や東南アジア)で何をしたのか。
 「お墨付き」があれば、殺人し、罪悪感がなくなる。
 被害者や加害者が、あまりにも大量だと、罪にも問われない。

 政府のお墨付きが出て、海外にも行けるようになった日本。
 登場人物たちへの嫌悪感は、自分たちにも、誰にでもはね返る。
 不快ではない。今の日本の状況もふくめ怖くなった。
 
FutosiSaito

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