こしあん

ほとりの朔子のこしあんのレビュー・感想・評価

ほとりの朔子(2013年製作の映画)
3.6
ストーリーはイマイチだけど、役者さんの演技や雰囲気がバツグン。
ストーリーはめちゃくちゃ面白いのに、演出や演技がヘタクソ。

一生、どちらかの映画しか観られないってなったら、みなさんはどちらを選びますますか?

これ、めちゃくちゃ悩んだんですけど、ストーリーだけなら小説があるし、映像化の醍醐味って、役者さんの魅力や演出、作品全体の空気感だったりするのかなって思って、どちらかといったら前者かなと。

『ほとりの朔子』は、間違いなく前者。
これといった大きな出来事は起きない、フランス映画みたいな空気感で、途中ちょっと退屈でした😅
でも、かすかに幼さの残る、二階堂ふみと太賀が素晴らしくて。みずみずしくてナチュラル、地味なのに存在感バツグン。
線路を歩くシーンすごくいい!

オトナのちょっとしたズルさや曖昧さ、汚さ、醜さ、矛盾などが、サラサラとした川の流れのように描かれていて、水辺の風景の清らかさと、さびれた田舎町の物悲しさが同居している感じが良かった。

【ほとり】という言葉、なんかキレイですよね。
新しい世界へ行く手前の迷い、期待と不安が入り混じる場所。
うまく言えない、人間の複雑な感情が漂っているような。

淡々としたなかにも「ふむふむ」となるようなメッセージがいくつもあり、嫌味や尖りのない絶妙な温度感で提示されているところいい。

うん、やっぱり深田晃司監督、好きですね、私。
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