かつてはドク・ホリデイだったヴァル・キルマー、本作ではワイアット・アープに転生。保安官であるアープがバントライン・スペシャルを贈られるまでの過程を回想形式で描いた西部劇。かの有名な“OK牧場の決闘”ではなく、それ以前の活躍に焦点が当てられているのが印象的。
ただ、単純にあまり面白くないのが辛い。抑揚に欠いた展開が延々と続くのに老ワイアットの語りが合間に何度も挟まれるせいで終始かったるさが否めない。肝心のワイアット・アープ一団もキャラクターとして別に面白い訳でもないし、そんな彼らが延々と地道な追跡劇を繰り広げるので早々に退屈さが勝ってしまう。銃撃戦の貧弱な演出もそうだけど、現代のB級西部劇でよく見られるような画面のチープさも切ない。
本作も往年の名作西部劇と同じく“神話性の否定”というテーマで総括していくものの、本筋の薄さ故にいまいち響かないのが悲しいところ。ただ、アープに取材していた記者がラストで過去の事件と結び付いたのはちょっと意表を突かれた。