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無常の一のレビュー・感想・評価

無常(1970年製作の映画)
3.5
実相寺昭雄監督長編デビュー作

日本人の内材風景である"無常感"をテーマとし、近親相姦という反社会的かつ反倫理的な関係性と独自のエロティシズムを通して日本的な精神風土を描く

ウルトラマンシリーズなどの特撮を中心に、テレビ畑で活躍していた監督とは思えないような、良い意味でイかれ狂った作品

スタイリッシュでATG感強めの圧巻の画力と展開は、二度と忘れられないほど強烈なインパクトを残す
徹底された美しい構図に、やたらと左右に振られて平行移動するカメラワークで見事にえ調和される

仏教とエロスを融合させ、ぶっ飛んだ倫理観でアナーキズム全開な「性」を生々しく描き、爆発しそうなほどのエロティシズム満載の異様な光景の中で、極度のニヒリズムを堪能できる
お互いに能面をつけながらいちゃつくシーンのカルト感も最高だった

バイオリンの奏でる美しい音楽も背徳感をさらに助長させるのに効果的
抽象的ではあるものの、それほど難解な作品ではないのが唯一の救い
にしてもエンディングはちょっと優しすぎないか

〈 Rotten Tomatoes 🍅-% 🍿※100% 〉
〈 IMDb 7.7 / Metascore - / Letterboxd 4.1 〉

2021 自宅鑑賞 No.303
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