Arbuth

グランド・ブダペスト・ホテルのArbuthのレビュー・感想・評価

4.5
昔ながらの遊園地みたいな映画。
さすがアカデミー賞美術賞、衣装デザイン賞、メイク・ヘアスタイリング賞受賞作という感じ。彩りが可愛らしいし、建物もファッションも皆オシャレでキラキラしている。
昔の映画みたいな少し早回しのコミカルなカメラワークも相まって、とてもクラシックな格調のあるコメディ映画。

かと言って全く古臭くはない。ストーリーも良い意味で大袈裟で楽しく、テンポ良く進んでいく。殺人事件が絡む話なのにどこかほのぼの。。。特に好きなのは脱獄の後に詩を読むシーンと警察に追い詰められた最中に黙祷を捧げるシーン。余裕ありすぎでしょ。

なんと言っても、始まり方と終わり方がすごく好き。

最初、おそらく場面は現代、少女がベンチで一冊の可愛らしい本を読み始める、その後ろにはその本の作者の銅像。その本のタイトルは『グランド・ブダペスト・ホテル』。
舞台はその本の中に移り、おそらく現代から30年ほど前の老年の作者が、自分の若い頃のある思い出を語り出す形で物語は書き出される。場面は更に時代を遡る。
若かりし日の作者は、ある日訪れた年季の入ったホテルである老人と出会う。その老人はそのホテルのオーナーだった。老人がどのようにしてそのホテルのオーナーになったのかについて尋ねたところ、彼は青年時代に起こったある奇想天外な出来事について話し始めた…

という導入。
①現代の少女→②老年の作者→③作者が若い頃に出会った老人→④老人の青年時代、と4つの時代の入れ子構造になっているんだけど、それが全然説明臭くなくとてもスムーズに描かれていて、ラストで本を読み終えた最初の少女が満足そうに微笑むシーンが、あぁ彼女はとっても素敵な読書体験をしたのだろうな、3つの時代を遡って、、、と思えて、なんだかとても美しく見えた。

良いもの観れました。映画って本当に素晴らしいですね。
Arbuth

Arbuth