みなりんすきー

赤い指のみなりんすきーのレビュー・感想・評価

赤い指(2010年製作の映画)
3.5
”人は嘘をつく
自分の心の弱さを 隠すため
かけがえのないものを 守るため
逃れられない苦しみから 目を逸らすため”

『いつからだろう 帰りの電車がひと駅進む度 心が重くなるようになったのは』

『無駄足をどれだけ踏んだかで 捜査の結果は変わる 叔父さんはそう教えてくれました』

『”親を何だと思ってるんだ”──俺が言えた義理じゃないな』


■ あらすじ ■
前原昭夫(杉本哲太)は、妻と一人息子、そして認知症の母親と一緒に暮らしているが、妻は義母を疎み昭夫をなじり、息子は親和性に欠けるなど、問題を抱えた家庭は昭夫にとって辛い環境だった。ある夜妻から今すぐに帰って来てほしいと電話が入り仕事から帰宅すると、庭には幼い少女の遺体がビニール袋をかけられ横たわっていた。息子が自宅へ連れ身勝手な理由で殺害してしまったものと分かり、警察に通報しようとする昭夫だが妻がそれを止め、息子のために隠蔽することに。
やがて事件が発覚すると練馬署の加賀恭一郎(阿部寛)と捜査一課の松宮(溝端淳平)らは、現場付近の住宅で聞き込みを行うが…


■ 感想 ■
『赤い指』

東野圭吾の加賀恭一郎シリーズ。東野圭吾にどハマりした当時(今も好きですが笑)すぐに読んで、ボロ泣きした記憶があります。
実写化の新参者映画は『麒麟の翼』だけ観たことがありましたが、他は未見。今作はもちろん原作を読んでいるので内容は知っているけど、映像でも見てみたくなったので鑑賞。あと阿部寛好きなので。かっこいいですよね〜〜。

ほぼ原作通りに綺麗に進んでいった印象。分かっていてもラストはやっぱり泣かされた。なんなら真相を知っているから、途中途中で出てくる母親との回想シーンでもう泣かされる。もう最初から、昭夫に「この馬鹿者ーーー!!!😭😭😭」と叫んでやりたくなった。まぁ一番酷いのは奥さんだと思うけど。いくら我が子だからといって、あれはないよな…そもそもの接し方もめっちゃ問題あるんだけど、いくらなんでも人殺して、しかも相手は幼女。罪深いことこの上ない。どんなに我が子が可愛くたって、人の命を奪ってしまった罰は受けないといけないよ。被害者の親の気持ちが分からないはずないだろうに。ヒステリックだし見ててキツかったですね。それに言い負かされちゃう昭夫も昭夫なんだけど。

阿部寛演じる加賀恭一郎は流石というか、この人の前では嘘なんて全て見透かされそうな凄みがある。庭の暗闇からヌッと出てくるの怖すぎた(笑)変質者かお前は(笑)阿部寛って結構あまり感情に流されず淡々と話す役が多いけど、それなのにものすごい熱量があるというか、心揺さぶられますよね。最後の昭夫に対する問いかけの場面なんか気迫が凄くて。魂に呼びかけられているみたいな。あんなふうに言われたら、もう彼の目を見て嘘なんてつけない。

『眠りの森』や『祈りの幕が下りる時』もまだ未見なので、この辺も今後観ていきたいですね。